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中編
エレベーターの窓に映る階
中編

エレベーターの窓に映る階

2025年11月5日
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私は地方都市Fに住んでいます。

ある日、会社から突然O支店への長期出張を命じられました。

期間は1ヶ月。人数合わせの応援という、よくある話です。

O支店は市の北部にある古い自社ビルでした。

1階は駐車場、2階が事務所。そこから上の3階~7階は賃貸マンションになっています。

会社の所有している空室がいくつかあり、私はその中のひとつ――5階の部屋をあてがわれました。

仕事場と寝床が同じ建物というのは便利なようで、妙に気が滅入ります。

夜になれば、同じ建物の中を「帰る」だけ。

どこかに切り替えができないのです。

その夜も、近くのスーパーに買い出しに出た帰りでした。

通りには誰もいません。季節外れの湿った風が吹き抜け、外階段の金属がギシ、と鳴りました。

マンション専用の小さな玄関を入ると、すぐに郵便ポストが並んでいて、数歩進むとエレベーターホール。

古い蛍光灯が白く唸っていました。

私は中に入り、「5」と刻まれたボタンを押します。

ドアが閉まり、鈍い音を立てて上昇が始まりました。

狭い窓からフロアが過ぎていくのが見えます。

2階、3階……暗い。

4階のところで、一瞬だけ人影が見えました。

スーツ姿の男が、ドアの前でじっと立っていたのです。

蛍光灯が切れているのか、そのフロアだけ真っ暗。

だからこそ、黒いシルエットがくっきり浮かび上がっていました。

男は右肩を少し落とし、右手をポケットに入れたまま動かない。

まるで影絵のように静止していました。

エレベーターはそのまま上昇を続け、明るい5階で止まりました。

私は降り、正面の502号室の前に立ちました。

鍵を探そうとして、ふと考えます。

今、通り過ぎた階。

暗いフロアを含めて三つ見た。

けれど、2階は会社の事務所で、エレベーターは止まらない構造のはず。

窓の外に見えたあの階――あれはいったいどこだったのか。

おかしい。

心の中でそうつぶやきながら、鍵を取り出そうとした瞬間、

背筋が冷たくなりました。

――さっきの影の姿勢。

右肩を落とし、右手をポケットに入れたまま立ち尽くす、その姿。

今の私とまったく同じ格好でした。

ぞわりと鳥肌が立ち、動けなくなりました。

エレベーターの方から、何かの「視線」を感じます。

確かに、さっき降りたばかり。

中には誰もいないはず。

けれど、ドアの向こうで、誰かがこちらを見ている――そんな確信がありました。

私は振り向けませんでした。

そっと鍵を差し込み、扉を開け、中へ入る。

後ろ手で静かに閉め、鍵を回しました。

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はじめまして、よろしくお願いします。

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