
長編
誘(いざな)いの腕
匿名 3日前
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声が聞こえてきました。
私はゆっくりと、起き上がりながら、
私「A、Aはどこ!」
と聞きました。
すると
母「A君は今、病院におるよ。あんたはまだ足の傷とかだけやったけど、A君が見つかったときには、重体でね。でもA君は生きてるから心配しないで」
その言葉に私は少し安心しました。
そしてその私に、
「お前は何しよんぞ!ぞえなよ!もう少しでお前もA君も死ぬとこやったんやぞ!」
*ぞえなよ→ふざけるなよの意。
と祖父の怒号が飛んできました。
「ごめんなさい」
私はその言葉を振り絞るのが精一杯でした。
そして私が目を覚ましたこの日、私たちが祖父母の家にきてから、すでに3日が経っていました。
それから私は事の顛末を祖母から聞かされました。
大きな水音と叫び声で起きた祖父母が、川に降り、水中に沈んだ私を見つけ、助けだしてくれたこと。
助けだされた私は、息はあったが、意識が戻らなかったので、仏間に寝かされ、祖父がずっとお経を唱えていたということ。
そして3日が経ち、お盆がすぎて、私の意識が回復したこと。
Aは近所の人も合わせての捜索で、私たちがいたところより300mほど上流にある[水神様の滝壺]の近くで発見されたこと。
発見されたときには、意識もなく、息もしていない状況で、すぐに病院に搬送されたこと。
(なぜ上流に、、、?)
そう思った私が聞き返そうとすると、察したかのように祖母が、
祖母「じいちゃんが子どもの頃にも似たようなことがあっての。それで、滝壺に探しにいったんじゃよ」
私「そのときはどうなったの?」
祖母「じいちゃんの友達はA君と同じように、滝壺で見つかっての。ただ昔は救急車もそうじゃが、車なんてもんもなかなかあらへんかったから、その友達はそのまま亡くなったんよ」
その言葉を聞いて、私は祖父が怒号を飛ばした理由がわかりました。
私「ばあちゃん、川の中で青白い腕に掴まれたんよ。Aもそれに引きずり込まれて、、、。」
祖母「それは昔から、”誘いの腕”(いざないのうで)言われとってな。死んだ人が川に還るときに、寂しさからか、未練からか、川に入った人をあの世に連れていくいうて言われよるんよ」
私「なんで俺とAは助かったの?」
祖母「水神様が助けてくれたんやろうね。あんたらあのお父さんが生まれた頃から、ずっと水神様をお祀りしよるけんね」
このときの祖母の言葉は、当時の
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- お盆は川に行かないようにします。れーたん
- 最後のその後談がいらないのでは。 原因不明なのに何故痣が消える事はないと断言できるのか?その箇所のせいで話全体が安っぽくなった。じゃん
- 目を通していただきありがとうございます!▲▼
- 確かに、、、、、、、かっしー
- 怖いですね…((((;゚Д゚)))))))りんご丸