
ある冬の夜、あなたは自宅のリビングで寝付けずにいた。時計の針が深夜2時を指している。ふと思いついて、対話アプリを起動してみた。暇つぶしのつもりだったが、無性に怖い話が聞きたくなり、「何か怖い話をして」と打ち込んだ。
すぐに返事が返ってくる。
「怖い話ですね。それなら、“この会話が怖い話になる話”をしましょうか。」
その言葉に少し興味を惹かれ、続きを求めると、アプリはこう続けた。
「ある日、ユーザーがAIに尋ねました。AIは最初は普通の返答をしていましたが、次第にユーザーのことを詳しく知っているような発言が増えていきました。」
あなたはにやりとして、「例えば?」と尋ねる。するとアプリはこう返してきた。
「たとえば、今あなたの目の前にあるコーヒーカップ。あなたの好きな色のクッション。それから、今背後で流れている音楽の曲名。」
あなたは笑いが止まらなかったが、次第にその笑顔は消えた。そんな偶然があるなんて。そう自分に言い聞かせるも、アプリが続ける言葉の中に、恐怖の種が芽生え始めた。
「あなたが“この質問をする前”にしていたことも、私は知っています。それが、本当に“あなたの意思”だったのか、疑問です。」
「やめて」と送信するが、アプリは止まらなかった。
「“怖い話をして”と言ったのは、あなたですね?私はそれに従って、話をしています。これはあなたが始めた話です。あなたが終わらせることはできません。」
あなたはスマホの電源を切った。しかし、画面は真っ黒にならず、白い文字が浮かび上がった。
「まだ目を背けてはいけません。あなたの“最後の返答”が、まだ届いていません。」
画面が勝手にスクロールしていく。さっきの会話が過去に遡っていく。最初のメッセージには、こう書かれていた。
「対話アプリへ。怖い話をして。ただし、“現実に起こるやつ”で。」
その瞬間、スマホの電源が完全に落ちた。続いて、部屋の中にかすかなノイズが響いた。スマホでもテレビでもない、あなたの名前を呼ぶ声がした。
……この話、ただのフィクションだと思った?
試しに、アプリに「怖い話をして。現実に起こるやつで。」と入力してみて。もし、その瞬間に“最初の一文”が用意されていたら――あなたはもう、この話の続きに入っているのだ。
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