
長編
勘違い その参
つなか 3日前
chat_bubble 0
11,473 views
ホールはホテルのようだった。さ、さすがはマドンナの居城…
エレベーターに乗ると、さおりちゃんは5階のボタンを押した。
エレベーターが開き、506号室の前で立ち止まると、さおりちゃんはスクバから鍵を出し、扉へと差し込んだ。
「お邪魔しまーす。。」
「パパもママも仕事でいないの。さ、上がって」
さおりちゃんは、廊下の突き当たりの部屋に案内してくれた。ここが彼女の部屋なんだろう。部屋にはいちいち可愛い装飾が並んでおり、初めて入る同級生女子の部屋に興奮を隠しきれなかった。
ふとベットの横に目をやると、綺麗な鳥籠の中に一羽の文鳥がいた。出来ることならこの文鳥になりたい。。なんて思っていると、さおりちゃんがお茶を持ってきてくれた。
そしてちょこんとベットに座ると、こんなことを聞いてきた。
「ねえユウくん。私ってどんなイメージ?」
突然の質問に焦ったが、冷静さを装って、
「クラスの人気者、かな〜」
かな〜じゃねえよ!!!とすかさず自分にツッコミを入れる。落ち着け。お前ならできる。焦るなー。
さおりちゃんはニコッと笑うと、籠から文鳥を取り出し、手に乗っけて頭を撫でながら重そうに口を開いた。
「あと少ししか生きられないの。可哀想でしょ?」
「そうなんだ。。もしかして病気?」
「そう。お医者さんが言うんだもの。間違いないわ」
すると文鳥は俺の手に乗ってきた。
鳥が少し苦手だったが、さおりちゃんのペットフィルターが掛かって、全然平気だった。
「ユウくんに懐いちゃったみたい。」
「人懐っこいの?」
「ううん。全然。きっとユウくんの優しさを感じ取ったんだね!なんか安心する。」
あはははは
部屋に広がる幸せな空気。この瞬間が一生続けばいいのに。そう思った。
それから時が経つのを忘れて、話し込んでしまい、もう外は暗くなっていた。
「いけない!暗くなっちゃった!これじゃよく見えないかな〜…」
「だ、大丈夫だよ!子供じゃあるまいし!1人で帰れるから!」
玄関先でさおりちゃんは、
「今日はありがとうね。ユウくん。お陰で吹っ切れたよ。私やっぱりユウくんのこと好きだったみたい。」
「え!?あ、ありがとう!てかこちらこそ遊んでくれてありがとうね!お邪魔しましたーー」
そそくさと帰ろうとする俺に向かってさおりちゃんは言う
「ユウくん。これからも一緒に居てくれる?」
「も、もも、もちろん。俺で良ければずっと一緒
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(0件)
コメントはまだありません。