
長編
勘違い その参
つなか 2020年12月8日
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ある日、クラスの人気者、さおりちゃんが突然話しかけてきた。
「ねえユウくん。ちょっと相談したいことがあるんだけど、明日私のお家で聞いてくれる?」
「えっ。ああ、うん!えっ!お家で!?別にいいけど!今じゃダメなの?」
(余計なこと聞いちゃったーーー)
「うん。周りに聞かれたくないの。」
「わ、分かったよ!俺で良ければ是非!!」
周りがざわついている。それも無理ない。
だって、俺みたいなやつに「あの」さおりちゃんが話しかけてんだから。
さおりちゃんは成績優秀、なかなかの美人さんで、とっても優しいクラスのマドンナ。
んまぁ、周りから相談相手として少しは頼りにされてる俺だし?たまにはこんなご褒美あってもいいよな〜〜
しかし恋の始まる瞬間って本当に突然なんだな〜うっへっへっへっ
「じゃあユウくん。また明日の放課後ね。」
さおりちゃんは、スクバを肩にかけると、教室を後にした。
なんだか俺も恥ずかしくなって、後を追うように教室を出た。みんなの視線が熱いぜ〜
明日は最高の1日になるぞ〜♪
グーっと背伸びをした。
家に帰ってから俺はみっともないニヤケ面を家族に振りまき、「女の子との上手な会話方法」「失敗しない2人きりの会話集」などなど、ネット上の情報をかき集め、念入りな調査を開始した。妹はその様子を見て気持ち悪がっていたが、そんなの気になんねえ。
そして最高のコンディションでお届けしたいと9時には布団に入った。
翌日、さおりちゃんはお休みだった。
恥ずかしさと悲しみ、この2つの感情が頭の中をこれでもかとグルグル回って、とても辛かった。
誰かがクスクスと笑う。そりゃそうだ、今日は普段付けもしないワックスを盛り盛りに付けてるから。この場から消え去りたかった。
地獄のような1日が終わり、校門を出ようとした時、前方15メートルほど先に、まるで砂漠に咲く一輪の花のように、さおりちゃんが誰かを待っていた。
待ってましたよこの瞬間(とき)を。
俺は周りの奴らに聞かせてやるように、
「さおりちゃーん!お待たせー!」
と言い放ってやった。
さおりちゃんはニコッと笑うと、
「ユウくん。ごめんね今日学校行けなくて。」
さおりちゃんはどこか悲しそうな顔をしている。
「どうかしたの?大丈夫?」
「ううん。大丈夫。そしたら行こっか。」
20分くらい歩いて、さおりちゃん家に到着した。5階建てのアパート。エレベーター
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