
長編
不思議な夢
つなか 2日前
chat_bubble 1
12,990 views
中の風景が残っている。しかし夢は夢だ。支度をしている間にどんどん薄れていき、私と家族は病院へと向かった。
病院の入り口に着くと、太陽の光が沈む前に最後の輝きを見せていた。綺麗なオレンジの空が、病院の窓を赤く染めている。ロビーには順番を待っているのか、高齢者たちがちらほら長椅子に腰掛けていた。受付で名前を書いた後、受付横のエレベーターへと向かった。
母、父、私の順でエレベーターに乗り込んだ時、私が乗った瞬間重量オーバーのブザーが鳴った。
おかしいな、と困惑する私たち。
このエレベーターは10人まで乗れるはずなのに、なぜか私が乗った瞬間、ブザーが鳴った。受付の人も「故障かしら」と不思議そうに近寄って来た。
困惑している大人たちの横で、私は原因が分かってしまった。
あいつらが乗ってきたんだ。私と一緒にこのエレベーターに。
私はすぐ両親に、「祖父の病室へ行けない」と伝えたが、両親は「馬鹿なこと言ってるんじゃない」と嫌がる私の手を引き、階段へと向かった。
泣きじゃくる私。2階の階段を上がっていた辺りから子供達の笑い声が聞こえ始めた。
両親にも聞こえているのか、母が笑い声に合わせてえっ?と声を漏らしていた。
私の手を引き、足を早める父。そして3階に着き、角部屋である祖父の病室の扉を開けた。
そこには静かに眠る祖父がいた。
腕には点滴をつけ、夢でも見ているかのような優しい顔。そばには祖母と叔母がついており、「お父さん。〇〇が来たよ」なんて優しく祖父に語りかけた。
さっきまでのことなんてどうでも良くなった。私も祖父のそばに行き、そっと祖父の手を握った。涙が溢れる。
「じいじ。死なないで」
すると祖父が何やらボソボソと喋り始めた。
ずっと眠っていた祖父が、最後の力を振り絞って私に何か言っている。
「…は…なのか…」
「じいじ?なんて言ってるの?」
「…びは…ょうぶ…なのか…」
そう聞くと、またボソボソと何かを喋っている。祖父の口元まで耳を近付けた時。祖父が何を言っているのかが聞き取れた。
「首は…首は、もう大丈夫なのか。」
たしかにそう言っていた。
そしてその瞬間。耳の奥で鈍い刃物が空気を切る音が響き渡った。
そして心電図を測る機会が、ツーーと鳴った。祖父は息を引き取った。
この不思議な体験は今でも鮮明に覚えている。あの時もし私が病室へ行かなかったら、祖父はもっと長生きしていたのだろうか。それは今
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(1件)
- 最後は作った感あるけど、怖い話認定!びびり