
冬の寒い夜、俺と友人は廃工場の探索に出かけた。ここは過去に事故が多発したことで知られ、近寄る者は少なかった。だが、俺たちは肝試しのつもりでこの場所にやってきた。
工場内は静まり返っており、足音だけが響く。ふと、友人が「トイレに行きたい」と言い出した。工場の奥の方にトイレがあるというので、二人で向かうことにした。
トイレの扉を開けると、薄暗い室内に古びた便器が一つだけあった。友人は急いで中に入る。俺は外で待っていると、なにやら嫌な気配が漂ってきた。トイレの奥からはかすかな音が聞こえる。まるで誰かが囁いているようだ。
ふと、友人が「おい! ここに変なものがあるぞ!」と叫んだ。俺は驚いて扉を開ける。友人は顔色を失い、指差す先には古びたカメラが置かれていた。そのレンズは何かを映し出すように光を放っている。
俺がカメラを手に取ると、背後で友人が「それ、見ない方がいい」と言った瞬間、カメラのシャッター音が鳴り響く。俺は驚いて振り返るが、友人の姿は無くなっていた。トイレの中は静まり返っている。恐る恐るカメラを覗くと、映っていたのは俺の後ろに立つ、無表情な男の影だった。
慌ててトイレを飛び出すと、友人の姿はどこにも無い。全くの無人の廃工場で、俺はただの一人になっていた。カメラを手にしたまま、逃げるように工場を後にした。あの時の囁きは何だったのか、友人はどこに消えたのか、今でも思い出すだけで背筋が凍る。あのカメラが映し出したものは、今も俺の心に残り続けている。
その後、警察に通報したが、友人は見つからなかった。廃工場は再度封鎖された。あのカメラはどうなったのか、いまだに気になる。
この体験が何を意味するのかは分からないが、俺は二度とあの場所には近づかないと決めた。あの囁きは、俺に何かを警告していたのかもしれない。
それ以来、時折夢に友人が現れる。彼の表情はいつも不安そうで、俺に何かを伝えようとしている。
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