
冬の寒い夜、ボクと友達は、都市の廃墟に忍び込んでいた。廃れたビルの中を探検しながら、心躍る冒険を楽しんでいた。
その時、ボクたちは奥の方に不気味な黒い箱を見つけた。直径はおよそ1メートルほどで、周囲の光を完全に吸収するかのように黒々としていた。箱の表面には傷一つなく、まるで生き物のように静かに存在していた。
好奇心に駆られた友達は、その箱に近づき、手を伸ばしてみた。指先が触れると、まるで水面に沈むかのように、すうっと箱の中に吸い込まれていった。
「何だこれ、すごい!」友達は興奮し、次に石を投げてみた。音もなく、石は箱の中に消えていく。恐怖心を忘れ、友達は今度は自分の腕を入れてみた。腕が入ると同時に、目の前が暗闇に包まれ、何も見えなくなった。
「どうなってるんだ?」友達は驚き、箱の中に顔を突っ込んだ。その瞬間、ボンという破裂音がして、箱が一瞬だけ閉じた。すぐに元の形に戻ると、友達は地面に倒れた。
彼の顔は完全に消え、血が周囲に飛び散っていた。目や鼻のあった場所にはただの穴が残るだけ。ボクは恐怖で動けずにいた。
友達の体はまだ微かに動いていたが、もう助けることはできなかった。彼が親の元に帰れないことを考えると、胸が締め付けられる思いだった。
思いついたのは、彼を楽にしてやることだった。ボクは友達を黒い箱の中に投げ入れた。彼の体はすぐに箱の中に飲み込まれ、箱は次第に小さくなり、やがて消えてしまった。
それ以来、あの黒い箱は現れなかった。そして、友達は行方不明のままだ。今日まで、この出来事を誰にも話したことはない。彼のことを思い出すたび、心の中に重い影が残る。恐怖と罪悪感は、決して消えることがないのだ。
冬の夜、冷たい風が吹く中、ボクはもう一度あの廃墟に行くことを決めた。何か、あの箱の真実を知りたくて。
その瞬間、どこからか、箱の音が聞こえたような気がした。
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