
夜、耳鳴りが強くなった。
この音がする時、いつも誰かが近くにいる気がする。
わたしの部屋の窓からは、少し離れた公園が見える。
いつもは静かなその場所が、今はどこかざわついている。
月明かりの下、薄暗い木々の間から、何かが見える。
白い服の子ども。
その姿はぼんやりとしていて、何も語らない。
ただ、その子はじっとこちらを見ている。
夢の中で何度も呼ばれたあの子。
あの時、富士の樹海で迷ったときの記憶がよみがえる。
気のせいかもしれないけど、心がざわつく。
不安…?
怖くはない。ただ静かに胸が痛い。
あの子がいると、わたしの写真には、見えないはずのものが写る。
でも、今はその子が何を求めているのかさっぱりわからない。
もしかしたら、ただ見ていてほしいのかもしれない。
その瞬間を、記録してほしいのかもしれない。
わたしはカメラを手に取り、彼女に向けた。
シャッターを押すと、まるで時間が止まったかのようだった。
その瞬間、耳鳴りが一瞬止んだ。
音が消えた、その静けさの中に、何かが流れ込んできた気がした。
手元の画面に映し出された白い服の子どもは、やっぱり笑っているように見えた。
それでも、あの音はまだ続いてる。
あの子が何を思っているのか、知りたくなる。
それでも、どうしても聞こえない声が、わたしの心に響いてくる。
これを投稿すると、たぶんまた夢を見る。
その夢の中で、わたしはその子と再び出会うのだろうか。
時折、夢の中でその子に呼ばれ、わたしは手を差し伸べる…でも、いつもその手は届かない。
触れられないからこそ、あの子の存在が不気味で、そして美しい。
それがわたしの中で、何かを生んでいる気がする。
この感覚は、わたしにとって、写真を撮ること以上の意味を持っている。
この曖昧な感情があるからこそ、わたしはまた、夜の公園に戻るのかもしれない。
その静けさの中で、白い服の子どもと共に、何かを見つけるために。
後日談:
- あの晩の出来事は、わたしの心に不思議な影を落とした。 耳鳴りが続く中、白い服の子どもは夢の中で何度も現れた。 彼女はいつも微笑んでいて、わたしをどこかへ導こうとしているように感じた。 その場所は記憶の中の樹海ではなく、見たことのない静かな湖畔だった。 その湖は光を反射し、まるで世界が逆さに映るようだった。 あの子の存在は、わたしに何かを伝えたかったのかもしれない。 わたしは、写真を通して少しずつ、彼女の意志を理解し始めている。 彼女が求めるものは何なのか、わたしはまだ答えを見つけられないけれど、今はその探求を続けたい。 恐怖を感じることもあるけれど、それは同時に生きている証。 だから、わたしはこれからも、彼女と向き合い続ける。 この不思議なつながりが、わたしにとっての新たな道しるべになることを願いつつ。 次はどんな景色が待っているのか、少しだけ楽しみでもある。 それでも、あの音はまだ続いている。 どこかで、また彼女が待っているのかもしれない。 その時のわたしは、何を思うのだろう。 その答えを探すために、わたしはこれからもシャッターを切り続ける。 それが、彼女に対する一番の敬意なのかもしれない。 あの子の笑顔を、しっかりと胸に刻むために。
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