
長編
旅路にて
匿名 3日前
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もう居なくなっていた。
ぽかんとしている内に日も落ちかけてきたので、町まで急ごうと運転しながらも、やはり、あの人は一体何だったのかと叔父は考えずにはいられなかった。
すると突然、車が止まった。どうやらガス欠らしい。しかし前に寄った町で給油はしたばかりだった。叔父は不思議に思いつつ、最寄りのガソリンスタンドを調べ、電話した。
が、現在店員が二人しかいないので対応出来ないと断られた。仕方がなく、車を置いて彼は歩いて町まで向かった。
午後7時半、何とか町に着く叔父。一服し、取り敢えずホテルに行こうと地図で経路を確認し、再び歩きだす。
ボヤッとしながら歩いている内に前方に交差点が見えた。すると頭の片隅に老人の言葉が浮かんだ。
戌の刻の十字路は鬼門
避けようかと考えたがホテルは目と鼻の先だ。このまま突っ切ろうと交差点に躍り出た直後、右から激しいブレーキ音が聞こえた。何事かと振り向こうとしたところで、衝撃と共に叔父の意識は途絶えた。
目を覚ますと、病院のベットの上にだった。看護師が気付き、直ぐに医師が来た。
医師「意識が戻りましたか。貴方、車に轢かれて此処に運ばれて来たんですよ。何か身体に違和感はありませんか?」
叔父は困惑した。なにせ、車に轢かれたという割には何処にも怪我をしていないし、第一、どこも痛くない。そう告げると、医師も不思議そうに
医師「ええ、運が良かったのか上手い事ボンネットに乗ったらしいですよ。でも普通は、どこかしら怪我をするものなんですけど・・・。まあ、頭を打って気を失ったようなので一応精密検査を受けてください」
その後、医師と入れ替わりで警察が入ってきたそうだが、その話は割愛。ただ、検査を受けても異常がでなかった叔父は実質被害ゼロで医療費を受け取れることになったという事は記しておく。
即日退院した叔父はその足でガソリンスタンドへ向かった。店員の初老の男性に訳を話し携行缶を売ってもらう。男性は笑いながら、
男性「災難でしたな、何処でとまったんです?」
と聞いてきた。叔父が寂れた村の近くだと答えると、男性は驚いた顔をして言った。
男性「お客さん、あそこを通ったんですか?」
どういう事かと聞くと、どうやらこの土地の伝承であの廃村には貧乏神が住まうのだと言われているらしい。
男性「あの村も貧乏神によって寂れたのだと言われています。だから、あそこに近寄る人はあまりいないのです。お客さんの
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- こういうほっこりする話もいいですね。みつほ
- 親切は身を助けるですね。愛美
- 不思議で良いお話です。うんこりん
- このお話、とても好きです。みけ松