
中編
友達についていった人影
匿名 2016年12月9日
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学生時代、バイトが終わった夜中の12時くらいから友達とカラオケに行くのが習慣になってた。
2時間飲み放題で1000円だったから、ほぼ毎日通ってたと思う。
田舎の大学だったから車は必須。
私と友達は別々のバイトをしてたらから、いつもカラオケ店まで自分の車で行って帰りも自分の車で帰る、所謂現地集合現地解散って遊び方をしてた。
その日の夜も友達のバイトが終わるのを待って、居酒屋で軽くご飯を食べて(車だからもちろんお酒は飲まない)カラオケ店に入ったのは1時くらいだった。
そこから2時間、歌ったりお喋りしたりして過ごした後、各々の車に乗り込んで帰宅した。
現地解散とは言え、私と友達が住んでる場所は結構近いから帰り道はほとんど一緒。
その日は友達が前を走り、私がそのすぐ後ろを走っていた。
田舎なので夜中の3時過ぎともなると外を出歩く人影は皆無。
飲屋街ならまだまだ人気もあるけれど、道を一本外れたら車もほとんど通らない。
いつも通り自宅に向かって友達の後ろを走っていると、ふと前を走る友達の車のすぐ横を歩く人影を見た。
暗くて服装とか顔とかは分からないけれど、確かに人だった。
「珍しいなぁ。冬のこんな時間に歩いてる人がいるなんて」
そんなことを考えながら走っていると前方の信号が赤に変わった。
車が止まると人影も止まった。
信号待ちかな、なんて思っていたらその人影が友達の車を覗き込んでいる。
あらら、ナンパかしら?
友達は少し派手目でよくナンパされる子だから、今回もそうかなーモテるねーなんて思いながら信号が青に変わるのを待っていた。
人影はまだ車を覗き込んでいる。
暗くて車内の様子までは分からないけれど、友達は相手にしていないみたいで、信号が青に変わるとすぐに走り始めた。
私は、すぐに車を走らせることができなかった。
なぜかと言うと、ずっと友達の車を覗き込んでいた人影は、その後もずっと友達の車の横にぴったりとくっついて歩いていたから。
ありえない。いくら田舎の暗い道とは言え、私も友達も走行速度は40キロ以上出していたはずで、その速さにぴったりとくっついて歩くなんて、人間には不可能だ。
人影は確かに歩いていた。
手足をゆっくり動かして、まるで優雅に散歩するみたいにゆっくりと、40キロ以上スピードが出ている友達の車と並走するように歩いていた。
それに、その人影はやたらと背が高いことに気がついてしまった。
私も友達も軽自動車に乗っていたとは言え、せの人影は車な対してやたらと背が高く、手足がひょろひょろだった。
妖怪の手長足長みたいな感じかな。
とにかく普通の生きてる人間じゃないと思った。
私はまた信号が赤に変わり、もう一度青に変わってようやく車を走らせた。
それまで後続車がいなかったのは幸いだった。
家に帰って携帯を見ると友達からメールが来ていて、私がついてこないことを心配する内容だった。
私は友達にさっきの人影の話をするか悩み、こんな時間に怖がらせるのも悪いと思い、「ちょっとコンビニに用事を思い出したから寄ってた」とだけ返信して、シャワーを浴びてそのまま寝た。
翌日大学に行くと、友達が随分とぐったりしているので寝不足かな?と声をかけたら、とんでもない話をし始めた。
友達曰く、帰宅して私からのメールを読んだ後、シャワーを浴びて寝たのだが、すぐに金縛りにあって目が覚めたそうだ。
金縛りは割と良くなる体質らしいので、そこまで焦ってはいなかったみたいだが、ふとベッド脇の窓に視線をやると人影が見えたらしい。
友達の部屋はアパートの2階で、ベランダもないため窓から部屋の中を覗くのは不可能。
その人影はじっと友達を窓越しに見つめ、そのままぬぅっと窓をすり抜け友達の上に覆い被さってきた。
流石の友達もあまりの怖さに気を失ったようで、気がついたら朝になっていたそうだ。
あの人影は、あのまま友達の家まで憑いて行ってしまったようだ。
話を聞いた後、私も昨夜見た人影の話をしたのだけれど、なんで教えてくれなかったのかと怒られた。
話したところで、友達があの人影を回避できたとは思わないけれど、とりあえず謝っておいた。
あれ以来、友達の身にも私の身にも特に何も起こっていないし、あの人影を見る事もなかった。
あれはいったいなんだったのだろうか。
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