
冬の寒さが身に染みる頃、大学からの帰り道、僕は妹のために時間を潰すことにした。母は仕事で遅くなるし、妹は遊びに行っている。いつもはカフェで読書でもするところだが、今日は何か気分が乗らない。
そこで僕はカフェの近くにあるリサイクルショップに寄ることにした。何か面白いものが見つかるかもしれない。店内を物色していると、ふと目に留まったのが中古のスマートフォン。値段は5000円。少し高いけれど、特に欲しいものもないし、思い切って買うことにした。
支払いを済ませ、帰る途中、外はすっかり暗くなっていた。家に着くと、妹はまだ帰っていない。少し冷えた部屋の中で、スマートフォンの電源を入れる。初期化されているはずなのに、一通りのアプリと一枚だけの不気味な写真が入っていた。そこには目が虚ろで、薄笑いを浮かべた女性の顔があった。
気味が悪いと思いながらも、すぐに写真を削除した。そんなことより、妹のためにこのスマホに面白いアプリでも入れよう。AirDropを使って、友達に面白い動画を送ろうと思いついた。
その瞬間、画面に「カナエ」と表示された。僕は思わず息を呑む。何でそんな名前が出てくるのか。さらに、Siriが目を覚まし、「カナエさんは今、あなたの家にいます」と言った。背筋が凍りつく。まさか、妹が帰ってくる前に何かが起こるのか?
気を取り直して、妹が帰ってくるのを待っていた。すると、またもやSiriが「カナエさんはあなたの家の隣にいます」と告げる。確かに妹は隣で遊んでいるはずだが、そんなことはありえない。恐怖感が押し寄せる。急いでスマートフォンの電源を切り、カフェの明かりが漏れる通りに出た。
しかしその時、背後から声が聞こえた。「お兄ちゃん、どこに行くの?」振り向くと、そこには妹がいた。全身が凍りつく。いつも通りの彼女の姿だが、その目はどこか異様だった。彼女の後ろに立っているのは、あの写真の女性だった。
「お兄ちゃん、私を置いていかないで」と妹の声が響くが、彼女の表情は無表情で、先ほどの不気味な女性の笑顔に重なる。恐怖で動けない僕は、ただその場に立ち尽くす。すると、女性はゆっくりと手を伸ばし、妹の肩に触れた。
「私を、捨てるな」とその声が響く。混乱した頭の中で、何が現実で何が幻か分からなくなる。気がつくと、僕はその場にしゃがみ込んでいた。目の前には、妹が普通の顔で立っているが、背後にはあの女性が立ち尽くしている。
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