
これは、大学生の時の出来事だ。冬の寒い夜、友人の悠と一緒に山道を歩いて帰っていると、背後から何かの視線を感じた。ふと振り返ってみたが、誰もいない。悠も気づいていないようだったが、心のどこかで不安を覚えていた。
数日後、また同じことが起きた。今度は薄暗い霧が立ち込める中で、背後から足音が聞こえた。恐怖心を抱きつつも、悠に「何かいるかも」と言ったが、彼は笑って「気のせいだよ」と言う。
次の晩、山道を歩くと、今度はその「何か」の体の部分が見えた。流れるような霧の中に、ぼんやりとした影が浮かび上がってくるのだ。
それから数日後、左手の部分が見えた。まるで誰かが自分に向かって手を伸ばしているようだった。恐怖が増していく中、悠はますます気にしなくなっていた。彼は「ただの幻覚だ」と言い続け、真剣に取り合おうとしなかった。
ある晩、山道を進むと、悠が奇妙な声を上げた。「俺、見えるよ。あいつが何を求めているのか。」驚いた私は、慌てて振り返った。そこには、ただの霧と影があるだけだったが、悠の顔は青ざめていた。
その後、悠は行方不明になった。警察に捜索願を出したが、彼の姿は見つからなかった。数か月後、山道の近くで彼の靴が見つかった。今でも、あの霧の中には、何かが潜んでいる気がしてならない。私が見たものは、決して忘れられない。彼が語った言葉が、心に深く刻まれている。あの影は、私たちに何を伝えたかったのか。今も答えは見つからない。
あの山道は、今も人々に恐れられている。誰もが近づかない場所になってしまった。私も、もう二度とあの道を歩くことはないだろう。果たして、悠はどこに消えてしまったのか。彼の言葉を思い出すたびに、背筋が凍る。何が見えていたのか、知りたくもない。これが私の体験した恐怖だ。どこかで、彼の声が聞こえる気がしてならない。
その影が、今も私の後ろにいるのだろうか。私は、ただ恐れるばかりだ。
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