
僕が専門学校に通っていた頃の話だ。冬の昼、校庭で友人たちと話していると、突然彼女のことを思い出した。彼女の名前は美咲。卒業前に彼女との未来について真剣に考えていたが、進路選択に悩む日々が続いていた。
美咲はいつも「就職先は見つかった?」「早く決めないと」と、プレッシャーをかけてきた。僕は彼女の期待に応えたかったが、夢であるデザインの仕事をあきらめきれなかった。ある日、意見がぶつかり、つい「美咲は俺の夢を理解していないのか!」と声を荒げてしまった。彼女はその後、無言で立ち去った。
数日後、気まずさから連絡を取らなくなった。美咲の存在が徐々に薄れていく中、結局僕はデザインの専門学校に進むことに決めた。卒業を迎えても彼女からの連絡はなかった。そんなある日、校庭で友人と談笑していると、急に携帯が震えた。見ると、美咲からの着信だった。
しかし、その時は練習中だったため、受け取れずにいた。何度かかけなおしたが、彼女の電話はいつも不通だった。そんな日々が続く中、夜中にウトウトしていると、美咲からの電話が鳴った。思わず出てしまった。
彼女の声は震えていて、「ごめん、ごめん」としか言わなかった。僕は「もう別れよう」と告げると、彼女はただ「会いたい」と繰り返すばかりだった。友人に相談すると、「それ、危ないパターンじゃない?」と笑いながら言ったが、心の中には不安が広がった。
次の日から、美咲の電話が毎晩続いた。内容は同じで、ただ「ごめん」と「会いたい」ばかり。会うことができれば、少しは解決すると思い、彼女の家に行くことに決めた。ドキドキしながらアパートの前に立つと、扉が開いた。しかし、出てきたのは彼女の母親だった。
「美咲は1年前に亡くなったのよ」と告げられ、僕は言葉を失った。当時口論したその日の夜、彼女は自ら命を絶ったという。信じられない思いで帰宅する途中、携帯が鳴り、美咲からの留守電が入っていた。再生ボタンを押すと、彼女の声が流れた。「ずっと一緒だよ」と。ぞっとした。彼女の声は永遠に僕の心に響き続けるのだろう。僕はその後、彼女の記憶に苦しみながらも、日々を過ごしていくしかなかった。
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