
冬の夜、廃校の教室で、若い教師が生徒たちに向かって語りかけた。「みんな、笑いの病って知ってるか?」
教室の空気が一瞬凍りつく。教師は続ける。「この病気にかかると、誰もが笑い声しか出せなくなり、そのまま息絶えてしまうんだ。」
生徒たちは互いに目を見合わせ、不安そうな表情を浮かべる。教師はその話の詳細を語り始めた。「その声が『うふふ』という音になるから、そう呼ばれている。けれど、患者自身は笑っている自覚がないまま、いつの間にか命を落としてしまうという。」
一人の生徒が小声で呟く。「そんな病気、ほんとうにあるの?」
教師は微笑み、無邪気に言った。「噂だが、実際に起こることもあるらしい。」
その瞬間、教室の照明がちらつき、風が窓を揺らす。生徒たちは一斉に身を縮めた。教師は不気味に笑い、「うふふ、みんな、気をつけなよ。笑うことが多いと、いつの間にか……」と続けようとした。
そのとき、教室の後ろから一人の生徒が立ち上がり、顔色を失っていた。「う、うふふ……」と、彼は笑い出す。まるで自分の意志ではないかのように、彼の声は次第に大きくなり、教室中に響き渡る。
他の生徒たちは恐れを抱き、教室の隅に後ずさりする。教師は困惑した表情でその生徒を見つめた。「やめろ、止まれ!」と叫ぶが、彼はますます笑い続ける。
ついにはその笑い声が教室を支配し、他の生徒たちも次々と笑い始める。「うふふ、うふふ、うふふ……」と、その声は教室を包み込み、まるで暗い影が迫ってくるようだった。
教師は絶望的な気持ちで叫ぶ。「やめろ!笑ったら……」
最後の言葉が途切れたと同時に、教室の空気が一変する。生徒たちは一瞬で静まり返り、目の前に広がる光景に愕然とする。彼らは互いに視線を交わし、恐怖に震えていた。
その時、教師は自らの口から笑い声が漏れ、やがて彼自身もそのまま笑い続けることになった。教室に残されたのは、ただ静寂だけだった。
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