
あなたの周りには、認知症の方がいらっしゃらないだろうか?
もしおられたら、その方が誰もいないところに話しかけていたりしていないだろうか?
そんな光景に出くわした時、どうか笑わずに優しい目で見守ってほしい。なぜなら、その方には確かに「何か」が見えているのだから。
これは、晩年にアルツハイマー型の認知症を患った母親の介護を手伝うため、山小屋に戻った僕の恐ろしい体験談だ。
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僕は一人息子で、母は僕が小さなころから家庭で育ててくれた。父は不在で、母は大工として働いていたが、いつも忙しそうにしていた。
母は普段は明るく優しいが、たまに小さなことで苛立ちを見せることがあった。そんな時、僕はいつも心配していた。
数年前、母が認知症と診断されてから、彼女の行動は日々奇妙になっていった。例えば、突然自分の名前を忘れたり、食べ物を見失ったり、さらには誰もいないところに向かって話しかけることが増えていった。
冬のある夜、僕は雪が積もる中、母の介護のために山小屋に戻った。初めての夜は、母の不安定な行動に戸惑った。
「お母さん、何か欲しいものある?」
と聞くと、彼女は目を細めて言った。「あの子が来るから、準備しておかなきゃ。」
「誰が?」
「幸子よ。」
幸子という名前は、亡くなったおばあちゃんの名前だった。驚きながらも、僕は無視しようとしたが、母はどこかにいるはずの幸子に話しかけていた。
その日の晩、母が「幸子が来たから、一緒に食べよう」と言った時、僕は少しだけ心が温かくなった。しかし、その後の母の行動はますます奇妙になっていった。
数日後、母は「日記を見つけた」と言って、古い日記を持ってきた。その日記には、母が若い頃の思い出や、幸子とのエピソードが綴られていた。しかし、日記の最後には、幸子が消えてしまったという悲しい記述があった。
その日から、母は日記を読み返すたびに幸子に話しかけるようになった。夜中、僕はふと目を覚まし、母の声が聞こえてくるのに気づいた。「幸子、もう帰らないで」と。
ある晩、僕は不安に駆られ、母の部屋に行った。母は薄暗い部屋の中で、誰もいない空間に向かって微笑んでいた。
「お母さん、どうしたの?」と尋ねると、彼女は「幸子がまた来てくれた」と答えた。
その瞬間、僕は背筋が凍る思いがした。
数日後、母が急に夜中に外に出て行こうとしたとき、僕は心配になり、一緒に外に出た。雪が降る中、母は幸子を探しているようだった。
後日談:
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