
私は地方の小さな工場に勤めることになった新入社員です。仕事は製造部門のアシスタントです。
この工場では昭和の名残を感じさせるような古い体制が続いています。工場長は厳格で、残業は当然のこととされています。
特に不気味に思うのは、工場内の至る所に取り付けられた監視カメラです。工場長はこれを利用して、作業の様子を常にモニタリングし、気に入らない点があればすぐに文句を言ってきます。例えば、少しでも作業が遅れれば、その場で叱責されるのです。
この工場では、毎月何人かが退職していきます。特に新人が耐えられずに辞めていくことが多いようです。ある日、私の先輩も一人辞めることになりました。彼女は元気で明るい人でしたが、工場長からの理不尽な圧力に耐えきれず、うつ病になってしまったと言っていました。
「うつ病なんて甘えだ」と工場長は言い放ち、社員の前でそのような発言をするのです。周囲も彼の言葉に怯え、何も言えません。過去に工場長に意見した人が社内で孤立した経験を知っているからです。
最近、工場の清掃をしていると、監視モニターに奇妙な映像が映り込むことに気づきました。作業場の一部に、黒い霧のようなものが現れていたのです。それは徐々に動いており、まるで人の形をしているかのように見えました。私は目の錯覚だと思い、特に気にしませんでしたが、その映像が何回も現れるのです。
一週間後、その霧は製造ラインから倉庫の方へと移動しているように見えました。さらに一週間後、ついに工場長の執務室の近くにまで近づいてきているのです。
冬の一定の寒さが続く中、私たちは工場長の指示で新しい製品の出荷準備を進めていました。ある日、先輩が最後の出荷書類を持ってきた際、彼女は「工場長に挨拶をしたい」と言いました。しかし、工場長は「私に会う必要はない」と冷たく返事をしました。
先輩はその言葉を無視し、押しのけるようにして工場長の部屋に入ってしまいました。私はただ驚くばかりで何もできませんでした。その瞬間、先輩は書類に使ったペンで工場長の目を刺してしまったのです。瞬時の出来事で、私は声も出せずに立ち尽くしていました。
彼女は逮捕され、その後、私は想像していたよりも深い恐怖を感じました。モニターに映った霧は、彼女の恨みの象徴だったのかもしれません。この工場では、退職者が多く、特に恨みを抱えて去っていく人が多いのです。私もまた、いずれこの場所を離れることになるでしょう。
後日談:
後日談はまだありません。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(1件)
コメントはまだありません。



