
中編
もう1人の「叔母さん」
けいすけ 2019年10月30日
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このお話は私が18歳のお盆の時期に母方祖母の自宅にて体験した泣けるのか笑えるのか分からない不思議な話です。
その日は私は2年ぶり位に祖母の自宅に行きました。
お盆の時期で盆踊りがあり、祖母に浴衣を着せてもらい泊まりに行きました。
叔父夫婦と祖母も大歓迎で迎えてくれました。
お給料を稼いだ後なので宿賃に叔父夫婦への献上の品として箱売りビール(お金を渡して祖母は払って貰いました)と母方祖母への献上品いい感じのお菓子を買いました。
そんなこんな買い込み祖母宅へお邪魔して、従姉の娘ちゃんと末の弟と私で夏祭りへ向かいました。
楽しみつつ従姉の娘ちゃんも私達姉弟も怪我なく楽しく笑顔で帰還するようにと二人の祖母に命令され、無事その任務を終えました。
夜も遅くなり、私はお風呂に入りました。
面白い事件はそのときに起きました。
祖母の自宅はお風呂を改装して新しくしておりピカピカ広々でした。
…しかし、従姉親子と叔母の希望に逆らえず風呂場に鏡を設置することに。
うん…霊感がある祖母と叔父は反対したみたいだけど。
「ご先祖様方がいるから安心しなさい。」
「お姉ちゃん、鏡に変なの写るけど気にしないでね。」
従姉の娘ちゃんの天使の顔をした悪魔のような励ましを胸に私は風呂場へ。
シャンプーをしているときにそれは起こりました。
STEP1ドアの磨りガラス越しに白い着物姿の女性に気が付くが、何となく母と祖母に雰囲気が似ているので恐くなかった
STEP2 足音もなく磨りガラス越しに近づいており鏡を見ている女性の視線はとある私の身体の一部へ
STEP3 シャンプーが終わり、髪の毛を軽く拭き髪を結わえていると女性は身体を震わせながら口元に手を添えて隠しているつもり
何処の部分を見て笑っているのか…?
少し腹が立った私は文句を言おうとドアをあけるがいるのはタオルを持って来てくれた叔母さんでした。
「栞~…タオルって…プッ‼可愛い胸だわ(笑)」
噴き出す叔母の背後…少し離れた場所で笑う母に似た女性の表情。
思いっきり爆笑されていた。
「叔母ちゃん、タオル有り難う‼もう少しだけ暖まったら出るから‼」
赤面の私は叔母にそう言うとドアを締めました。
ハイよ~と笑い混じりに答える叔母。
お風呂が上がると叔父夫婦と祖母にお風呂場であった事を伝えると爆笑されました。
フォローになっていないフォローを受け私は顔から火が…。
しかし、鏡に映っていた女性の特徴を伝えると祖母と叔父は一瞬悲しそうな表情を出しながらもそれはご先祖様だからと言っていました。
その日の夜に不思議な夢を見ていました。
「あんた顔は可愛いけど、胸が無いわね。幸姉より無いわね。…でも、根性でここまで変わるとは凄いわ。心を汚されたら貴女を苛めたブス共と同じよ。優しい娘のままでいなさいね。笑ってごめんね。…少し痩せ過ぎだけどご飯は食べなさいね。」
私の胸をふざけて揉みながら女性は優しく微笑み頭を撫でてくれながら優しい言葉をのこしてくれた。
この人に逢うのは2回目でした。
8歳の夏休みに広間で遊ぶ私に優しく笑いかけてくれた女性だった。
次の日に祖母とお菓子を食べながら一晩に訪れた不思議な夢のお話をしました。
そして、祖母はポツリと白い着物の女性について教えてくれました。
「それは栞の叔母ちゃんだよ。お母さんの妹だよ。…じいちゃんが亡くなった時に一緒に逝ってしまった子だ。…狸を庇って命を落とすような人だったから…あの子もそっくりの優しい子だから神様が気に入って連れていったのかね。」
…母方祖父が事故死をした時に祖母のお腹には小さな命がいた。
けれども…産まれてこれなかった。
大好きだった祖父を亡くした祖母は…。
私はいつの間にか泣いていた。
「ばあちゃん、叔母ちゃんって呼んだら喜んでくれるかな?」
「きっと喜ぶよ。良いかい?水子も1人の人間として育つのよ。産まれてこれなくても1人の命だよ。」
祖母は優しく微笑みながら私の頭を撫でてくれた。
「叔母ちゃん」
夢の中で呼ぶと白い着物の女性は優しく笑ってくれた。
「産まれてこれなくても、ずっとこの家にいたのよ。お兄ちゃんやお姉ちゃんが大好きだから。勿論、栞の事もね。忘れないで、私は貴女の叔母ちゃんで貴女は私の大切な姪っ子だよ。甥っ子も姪っ子も皆可愛くて良い子達だよ。ずっと見守っているからね。」
優しく笑い叔母は頭を撫でてくれた。
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