
数年前の冬の早朝、私は家族と公園に遊びに行った。その日は冷え込んでおり、空には薄雲がかかっていた。
公園での遊びを終えた後、母が兄とともに公園の売店に向かっている間、私は車の中で待つことにした。助手席に座り、外を眺めていると、駐車場の奥にある一台の車に目が留まった。古めかしいセダンで、運転席には一人の男性が座っている。その背後には、赤いコートを着た女性が見えた。彼女は後ろ向きで、長い黒髪が肩に垂れていた。
(あの二人も家族を待っているのかな…)そんなことを考えながら、何かが気になった。セダンの後部座席は空いているはずなのに、彼女がそこにいる理由がわからない。彼女の姿勢があまりにも直立すぎるからだ。ふと疑問に思っていると、赤いコートの女性がゆっくりと振り返り始めた。
その瞬間、私は「見られている」と感じた。視線がこちらに向けられているのを強く意識した。目をそらさなければいけないのに、全く動けなかった。彼女の顔が見え始めると、恐怖が押し寄せてくる。無理やり頬を押さえ、視線を逸らそうとした。
何か他のことを考えなければと必死に思い浮かべたのは、家で待つペットのことだった。しかし、彼女の視線がまるで私を貫くように感じ、隣で何かが私を見下ろしているような不気味な感覚に包まれた。数秒が経過した後、車のドアが開く音が聞こえ、母と兄が戻ってきた。
彼らが乗り込むときも、私は後ろを振り返りたくてたまらなかったが、耐えた。駐車場を離れながらも、背後の視線が消えない気がして、心臓が早鐘を打っていた。あの時、もしも彼女が完全に振り返っていたら、私はどうなっていたのだろう。恐ろしい想像が頭をよぎる。 その瞬間、視線の正体を知ることはできなかった。何もなかったと安堵しつつも、心の奥に不安が残った。彼女は、ただの通行人だったのだろうか?それとも…?と。 その疑問が、今でも解けないままでいる。
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