本当にあった怖い話

Tって名前にしてあるのは私の親が離婚する前に起こった事だからです。お父さんは変な人でした。「一緒に公園に行こうね」と、言っても1日すると忘れていたり、言ってもいない事をさも私が言ったかの様に言う。最初は覚えるのが苦手なのかとも思える様な感じでした。でも、母親と喧嘩する理由も大体はその事で、忘れた。ただそれだけとか、言った、言ったとかそんな事。この事で喧嘩したりが多かった。そして、一番印象に覚えているのが、「お父さんの顔、分かる？」小学生の私にそう言っては、やっぱり分かるよね、そうだよねってよく分からない事を言ってました。それから父は人が変わったかの様に怖くなったり、また変に優しくなったりしました。それがどうしてか分からなくて怖くなったのを覚えています。それから、母親とまた喧嘩していたある夜。私は尿意で目が覚め、トイレに向かおうとしました。私の家はちょっと独特な作りをしていて、ある部屋の間にベランダの様な者があり、その奥に更に部屋があってそこから仏壇のある部屋か廊下に出る。そんな家の構造をしていました。後から聞いたんですが、ベランダの奥を部屋に作り替えたらしいのでこんな作りをしていたとか。部屋の扉は引き戸で、曇りガラスだったんですが、ベランダの奥の部屋。そこの部屋が明るかったんです。いわゆる豆球って奴がついてたんです。なんでついてるのかなって、ベランダに出てそこから部屋の様子を伺っていると、ある男の声が聞こえてきました。その声は父とそっくりで、しかも人影が見えたのですがその人影が2人居たんです。2人はなにやら喧嘩？の様なものをしていて怖くなった私はそこから動けずにいました。私が寝ていた部屋では家族で寝ていたんですけど母親はいても父親はいなかったんです。それは今でも分からないんです。ただ、その時はお父さんが2人いる。でも、変、とだけ思ってました。そしてそのお父さん？がもう1人のお父さんに掴みかかって首を絞めていました。突然の光景にそのまま固まっていると、2人のお父さんがこっちを同時に見たんです。そこでどうしようも無くなった私は慌てて部屋に入って布団に潜り込みました。お母さんはどうしたの？と、聞いていましたがただ怖くて朝になるまで布団に潜っていました。そこから両親は離婚する事になりました。原因は父がもう一人と入れ替わっては不倫していたとの事。母は双子だったんだ、どうして夫を見分けられなかったのかと酷く病んでいましたが、そこで私はある父との会話を思い出しました。お父さんの顔、分かる？こう聞いたのは気づかれてないかと思い聞いたんだと思いました。だけど、あの日の夜は私にとって忘れられない出来事です。父はきっと、どこかでまだ、生きています。