
秋の夕暮れ、ひと気のない山中に立つ廃屋。その周囲は静まり返り、ただ風の音だけが耳に残る。私は取材チームの一員として、地域の伝説や神秘を探るため、そこへ向かうことにした。その廃屋は、かつて農業を営んでいた家族が住んでいたが、今では誰も近寄らないという。
車での道中、助手の美咲が不安そうに言った。「本当にここに人が住んでいたのかな?ただの廃屋じゃないの?」私は彼女を安心させるつもりで、「昔の話だし、地元の人に話を聞けばわかるさ」と答えた。
廃屋に近づくにつれ、周囲の様子が変わっていく。木々が生い茂り、道は狭くなり、まるで何かが私たちを阻んでいるようだった。車を降り、廃屋に向かうと、玄関には古い農具が無造作に置かれていた。それは、かつての生活の痕跡のようでもあり、今はただのゴミのようにも見えた。
私たちは廃屋に声をかけたが、返事はない。静寂の中、恐怖がじわじわと押し寄せてくる。「誰かいませんか?」と叫んでも、ただ自分の声が響くだけだった。美咲が少し怖がりながら、「帰った方がいいんじゃない?」と言うが、私は取材を諦めたくなかった。
思い切って中に入ると、薄暗い室内の壁には無数のお札が貼られていた。それらは異様な存在感を放ち、私たちの背筋が凍る。美咲が「ここ、なんかおかしいよ」と言い、私も感じていた。「もう帰ろう」と言う彼女を無視して、私は奥へ進んだ。
すると、奥の部屋から何かが動く音がした。振り返ると、美咲が恐怖で目を見開いていた。「何かいる…」彼女の声は震えていた。私も恐怖を感じ、音のする方へ進むと、そこには朽ちた古い農具が散乱していた。だが、その中に見覚えのあるものがあった。
それは、先ほど見た農具と同じものだったが、まるで誰かが使った後のように湿っていた。そして、その中には無数の小さな動物の死骸が混じっていた。気持ち悪さが込み上げ、思わず後ずさりした。
「出よう!」美咲が叫び、私は彼女の手を引いて廃屋を飛び出した。外に出ると、山の静寂が一変し、大きなうなり声が響いた。「何だ、あれは?」振り返ると、廃屋の窓から無数の目がこちらを見つめていた。恐怖で頭が真っ白になり、二人は必死に車に向かって走った。
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