
小学6年生のとき、僕は学校を休みがちになった。理由は分からないが、友達とうまく話せず、いつも一人でいることが多かった。
母は心配して、何度も僕を学校に行かせようとしたが、余計に不安を募らせるだけだった。そんなある日、僕は近くの廃工場に行くことにした。冷たい風が吹きすさぶ中、何となくその場所が心地よい気がしたのだ。
廃工場の中に入ると、埃っぽい空気が漂っていた。薄暗い中で、僕は古びたぬいぐるみが転がっているのを見つけた。ふとそのぬいぐるみを手に取ると、背後から声が聞こえた。「それ、いいよね?」
振り向くと、見知らぬ少女が立っていた。彼女は白いワンピースを着ていて、髪は黒く、まるで夢の中から出てきたような存在感があった。僕は彼女の不思議な魅力に引き込まれ、自然と頷いてしまった。
彼女は「一緒に遊ぼう」と言って、ぬいぐるみを持ってきた。二人で廃工場の中を探検しながら、楽しい時間を過ごした。会話は少なかったが、彼女の存在が心地よく、まるで友達のように感じた。
しかし、外では雪が降り始め、いつの間にか周囲は真っ白になっていた。僕は帰る時間だと思い、彼女に一緒に帰ろうと誘ったが、彼女は「もう行かなくちゃ」と言って、工場の裏手に向かって走り去ってしまった。
次の日、また廃工場に行くことを期待していたが、彼女は現れなかった。何度か通ううちに、彼女のことを忘れかけていたある日、また廃工場に足を運ぶと、彼女が待っていた。彼女の名前を聞くと、「リナ」と名乗った。彼女の目はどこか深い湖のようで、僕はその美しさに魅了された。
冬の夕暮れ、再び廃工場で遊んでいると、彼女が「この場所、特別だから」と言った。僕は何のことか分からなかったが、彼女は続けて言った。「ここにいると、誰も知らない秘密が見えるの。」
その言葉に興味を持ち、僕も不安を抱えながら彼女と一緒に遊ぶことが楽しくなっていった。だが、ある日、僕が廃工場に行くと、彼女はいつも通り待っていなかった。雪が降りしきる中、彼女の姿を探し続けたが、結局見つけることはできなかった。
その日、僕は暗い気持ちを抱えながら帰路についた。母に何も言えず、ただ静かに過ごしていた。数日後、また廃工場に行くと、今度は彼女が待っていたが、彼女の表情はどこか憂いを帯びていた。「もうすぐ会えなくなる」と彼女はつぶやいた。
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