
私が幼い頃、地下室で時折見かける不気味な古い人形がありました。目が合うと、まるでそこに何かがいるかのような錯覚に陥るものでした。私は怖がりだったけれど、その人形に対しては不思議と恐怖を感じることはなく、ただの古い玩具だと思っていました。
冬休みのある夜、家族で自宅の地下室に集まり、暖を取っていると、私だけが目を覚ましたのです。普段は寝る時間でも、この日は何故か目が冴えていて、静かな地下室に違和感を覚えました。周囲は暗く、いつもは明かりが漏れている窓も雪で塞がれ、まるで外の世界が消えてしまったかのように感じました。
その時、何かが視界の端を横切った気がしました。目を凝らしてみると、古い人形が不自然に動いているのです。コントラストの強い暗闇の中、白い顔がこちらを向いているのが見えました。恐怖心が高まる中、隣で寝ている妹を起こさないようにそっと立ち上がり、様子を見に行くことにしました。
すると、地下室の奥から声が聞こえてきました。「ねえ、あそぼうよ」と、優しい声が響いてきます。妹の声だと思い、驚いて振り返ると、彼女は寝ている様子でした。混乱しながら声のする方へ進むと、そこには人形が立っていました。まるで私を誘うように、手を伸ばしています。
本能的に「近寄ってはいけない」と感じ、足を止めましたが、再び声が聞こえます。「ねえ、早くおいで。楽しいよ、あそぼうよ」と。私は恐怖で身動きが取れず、ただその場で固まっていました。人形はゆっくりと近づいてきて、手を伸ばしてきます。
その瞬間、私は気を失い、次に目が覚めた時は朝でした。妹が私の肩を揺すり、「どうしたの?」と心配そうに見つめていました。それ以降、地下室に行くことはなくなり、何も変わらない日常が続きました。
ただ一つだけ、あの日以来人工の目を持つ人形は、二度と見かけなくなったのです。あの暗い地下室での出来事を思い出すたび、背筋が凍る思いがします。
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