
目を覚ますと、私は古ぼけた映画館の座席に座っていた。目の前には薄暗いスクリーンが映し出されているが、内容が全く思い出せない。手には古いフィルムの切れ端が握られており、指先には何か赤い液体が付着している。
「何が起こったの…?」頭が混乱して、どうしてここにいるのか全く思い出せない。私が何かしたのか、それともただの観客だったのか。周囲を見渡しても、誰もいない。静寂が不気味に響く。
私は誰かを探すために立ち上がった。映画館は人の気配が全く感じられず、「誰かいますか?」という声が虚しく響く。足取りが自然と速くなる。
ロビーに向かう途中、映画館の一角にカップルが座っているのが見えた。彼らは何かを囁き合っていたが、こちらに気付くと驚愕の表情を浮かべた。若い男性は恐怖で目を見開き、彼女は悲鳴を上げた。
「何が起きているの?!」心臓がドキリと跳ねる。彼らが逃げる様子を見て、私は思わず追いかける。「待って!」彼らは私を見捨てて走り去る。何から逃げているのか分からないが、彼らを追っているのは確かだった。
その時、彼らが恐れているのは私だと気づく。ああ、これは私の仕業なのか。「これは私が引き起こしたことなのか…?」周囲の景色が急に変わる。映画館の中は荒れ果て、破れた椅子や塗装の剥げた壁が目に入る。まるで廃墟のようだ。
「アハハ、こんなに楽しいなんて!」笑いがこみ上げてくる。私は逃げる彼らに近づき、ナイフを振るう。男性の足元で子供が転び、赤い液体が彼の頬を濡らす。
混乱の中、私は自分が何をしているのか分からない。ただ、体が勝手に動いているようだった。普段の私ならこんなことはできないのに。次のターゲットを見つける。黒いコートを着た男性が、冷静に私を見つめていた。
「何を考えているの?」彼の無表情に苛立ちを覚えながら、近づく。近くに寄ると、彼は動じることなく私を見続ける。
「来ないで!」と叫ぶ間もなく、彼が私の手首を掴む。ナイフが手から滑り落ち、床に転がる。彼の力に抗おうとするが、身体が動かない。突然、左の腹に激痛が走る。彼が私の身体に噛みついていたのだ。
その瞬間、ナイフが手に戻り、私は彼の腹部に突き刺した。彼は驚いた表情を浮かべ、「なぜ動ける…」と言い残し、倒れた。
「だから言ったのに!」その直後、どこからともなく嘲りの声が聞こえた。目を開けると、再び目の前に現れたのは、私を見下ろす無表情な男だった。もう勘弁してほしいと思い、目を閉じた。
後日談:
後日談はまだありません。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(1件)
コメントはまだありません。



