
長編
お金持ちの同級生
ちびまる 2020年12月7日
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私が田舎の小学校5年生のときです。
同級生に伊作(仮名)さんと言う女の子が居ました。学校の西門の近くの大邸宅に住んでいて、体も大きく積極的で男女ともに慕われる明るい性格でした。
誕生日には手当たり次第呼ぶので40人くらいが大広間に集まり、地元のホールケーキが2、3個並べられるのが常でした。
その当時珍しい家庭用ゲーム機が最新機種あったので、誕生日のお祝いのあとはコントローラーの取り合いで主役の伊作さんは放ったらかしになっていました。
「ねえ中庭で遊ばない?」私と、友達の真由が誘われ家が何軒か連なって渡り廊下でコの字になっている空いてるスペースでバレーボールのパス練習を円陣になって遊んでおりました。
コントロールが悪くてしょっちゅう老化の屋根に乗ったりしてましたが、傾斜がついているのでガタガタいいながらも落ちてきました。
伊作さんはトイレに行くと言って私と真由の二人きりになりました。
待ってる間も退屈してたので二人でバレーボールを始めると今度は、渡り廊下の屋根にすっぽり入ってしまってなかなか落ちて来ませんでした。
私は柱をよじ登り、そのへんにある棒などで屋根を叩いて振動で落とそうとしました。ねらいは上手く行き、転がるボールを真由がキャッチしてくれました。
「だれですか」
いきなりそこに染み出してきたかのように真っ白な老人が立っていました。真っ白というのは白髪もですが肌が常軌を逸して白かったのです。生まれて一度も外に出て遊んだことがないのではという白さでした。
目はまばたきもせずがっちりと開いており、一目で狂人のそれとわかりました。
きっと怒らせてしまったのであろう、とっさに謝ることにしました。
「うるさくしてしまってすみません。伊作さんが一緒に遊ぼうって誘ってくれて、りっぱなお宅ですし壊したらいけませんよね」
私の様子に真由も同調して、二人で地べたに頭をつける勢いで謝り倒しました。老人ははじめて笑顔になって
「ああ○○子の友達なんだね。大丈夫だよ。ぼく子供は好きだから」
それからケタケタ笑って去っていきました。
それでも老人の姿が消えるまで油断出来ない雰囲気がありました。
老人はやや友人の方に身体を向けていたので私からは背中が見えました。
すると両方背中にまわした手にはしっかりと包丁のようなものが握られていたのです。
私は慌てて友人に肘で小突いてその場から去りました。建物の中で待っていると、トイレから伊作さんが帰ってきました。
「お爺さんらしき方に会ったよ」
「え?」
伊作さんの祖父は瓦職人で日焼けしてよく作業してるのでわたしもよく知ってる。
「初めて見る人」
「え、、うそ、、出てきてたの?」
それから、友人はしんみりとして、
「誰も今まで上げたことないんだけど私の部屋見に来る?」と言いました。
そんなに見たくもなかったんだけど、真由と私は是非といいました。
長い廊下を渡ったあと、台所からお母さんが顔を覗かせて
「え?部屋にあげる気?大丈夫なの?」と何度も伊作さんを引き止めようとしてました。
「大丈夫だよこの子たちは」
「あーじゃあ食事運んどいて」
給食で使うようなお盆に、犬用のエサ台とドックフードのようなものと牛乳がかけられていました。
階段は西洋の石造りみたくなっていて、二階から3階の階段はしたのスペースが牢屋のようなってて、20歳くらいの男性が裸になって入ってました。
私達を見ると奇声をあげて興奮し、格子をガシャガシャと揺らしていました。男性の精の香りがする毛布の近くにはヨレヨレになった雑誌があり、そこには肌がの女性の写真がありました。
友人は足もとの30センチの隙間からトレイを差し込んで、「私の友達だからね、お兄ちゃん、、やめてね」
と消え入りそうな声で言いました。
伊作は今までお父さんも一人っ子、伊作自身も一人娘と聴いています。
お兄さんがいたなんて、、
ななめ向かいのもう少し離れたところにもう一人のお兄さんが牢屋に入ってました。こっちは暴れていなくて大人しそうでした。
衝撃をうけたまま、伊作のこじんまりとした6畳の部屋にはベッドと沢山のかわいいぬいぐるみがありました。
「男子がこの部屋みたら私のこと可愛いって思ってくれるかな?まあ呼べないんだけどね」
と言ってぬいぐるみを抱きしめて泣いていました。
私は気の済むまで3人でその部屋でお話をしていました。
後日、伊作の家の前を通り過ぎると、近所の主婦が井戸端会議会議をしてました。
「この家怪しいのよ、戸籍に載ってない男性がなん人も居るのよ、ここのお父さんの兄が何人も殺してるのよ。でもお金持ってるし、ここ顔広いから殺られた方は泣き寝入りよ」「怖いわねー」「家から出てこないから行かなければなんてことないんだけどね」「昔は結構殺される人ちょくちょくでていてさ」「お誕生日会とかしてるんてしょ娘さんの、、一体何考えてるのかしら?何かあったら責任とれないのに」
そこに職人のおじさんが出てきて
「人の家の前で根も葉もないうわさ流すのやめてもらえますか!迷惑です!」
おばさん連中は怯まずに
「私は教えてあげてるのよ、とくに新興住宅地の生徒さんは知らないでしょうからね。あなたお兄さんいるわよね?殺人の」
「いません!」
私と真由はきまずくなってその場から立ち去ってしまった。
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