
長編
呪地蔵
まなみ 3日前
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、やはりだ。あの時H先輩が手に持っていたものは地蔵の……。
結局その後俺たちは、不満気なH先輩と、どこか神妙な顔をしたY先輩の運転する車に乗り込み、何事もなく帰路に着いた。
「悪い、何か今日はもう麻雀する気になんねえわ、ごめんな」
Y先輩はH先輩の行動に腹を立てたのか、その日は皆を帰らせた。
最後まで不満気なH先輩は、結局あの後一言も喋る事なく、Y先輩の家を後にした。
その日以来どうも気まずくなった俺は、Y先輩の家に立ち寄らなくなった。
そして留年してしまった事もあり、大学を辞め、田舎へと帰る事になった。
あの日から数年、地元で就職した俺は、結婚して子供もでき、世間一般的な幸せとやらに興じて日々を送っていた。
そんなある日、俺の元に一通の手紙が届いた。
大学時代Y先輩の家によく一緒にたむろしていた同級生の一人、Aからだった。
大学時代の仲間を集めて同窓会を開きたかったらしく、中退した俺にもわざわざ手紙を送ってくれたのだ。
何だか妙な懐かしさを感じた俺は、手紙に書いてあった連絡先に早速電話してみることにした。
「あっもしもし?俺だけど」
「おおっ久しぶりだな!声かわんねえなお前、すぐ分かったぞ」
「えっまじ?てか本当に久しぶりだな。H先輩とあの神社に行って以来だろ」
俺がそう言うと、なぜかAは押し黙ってしまった。
「おいA、どうした?何かあったのか?」
急いで聞き返すがAからの返事はない。
「A、なんだよ
、どうかしたのか?」
すると、電話口からAの弱々しい声が聞こえた。
「なあ、お前、呪いって……信じるか?」
「呪い?何言ってんだ急に。気は確か……」
そこまで言いかけて俺は口をつぐんだ。
一瞬、あの時、御堂の扉を開け、地蔵の頭をもぎ取ったH先輩の姿が、俺の頭の中を過ぎったからだ。
呪いの地蔵……。
「お前、あのあとすぐに大学辞めちまって知らないんだったな。死んだんだよ、あの後」
頭が真っ白になりそうだった。
呪い?地蔵の?そんな、そんなテンプレのような事が本当にあるのか?テレビやネットの怪談話でよく目にするような、あんな話が……。
「呪いで死んだって言うのかよ……?そんなの偶然だろ!?そりゃ確かにしめ縄ほどいたり地蔵の頭もぎ取ったりしたかもしんねえけど、それでH先輩が死んだって?いやいやいや、ないってそんなの」
そんな興奮しながら話す俺に、Aは言った。
この怖い話はどうでしたか?
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- お地蔵は普通に怖いなぁ。実際に見たことってあんまないし…(´゚ω゚`)バターオイル
- 面白ければどっちでもいいARuFa
- 俺の親戚の叔父さん、じ〇つして一ヶ月ぐらいしてからし〇だって聞かされたよ?家族が世間体気にして密葬する場合もあるからな。ろん
- Y先輩が亡くなったのは地蔵を見に行って一週間後。その一週間の間に大学を中退したのだとしたら急すぎるし、仮にスグに中退したとしても、Y 先輩の訃報を知らなかったというのも不自然すぎる。惜しい。匿名
- 扉開けて数年も立ってたら、さすがに移動撤去されるんじゃない?絵巻
- 御堂と地蔵が消えたってとこから急に松っぽさが…。そこまでは面白かった。(´・д・)