
冬の夜、雪が静かに降りしきる中、古びた精神病院の廊下には不気味な静けさが広がっていた。精神科医の田村は、一人で夜勤を任されていた。最近、診療室に入った患者が不自然な行動を取るようになり、何かが変だと感じていた。そこで、彼はその患者の様子を観察するために診療室へ向かった。
ドアを開けると、室内は薄暗く、冷たい空気が流れ込んできた。田村は、机の上に置かれた患者のカルテを手に取る。そこには、彼の目を引く異常な記録があった。どうやら、患者は診療中に異常な幻覚を見ていたらしい。その内容は恐ろしいもので、まるで誰かが彼を見ているかのような感覚を抱かせるものだった。
その時、背後から音がした。振り返ると、看護師の佐藤が立っていた。「田村先生、何をしているんですか?」彼女は不安そうな表情を浮かべていた。「患者の様子を見に来たんだ。ちょっとおかしいことが書かれていて……」と田村が言いかけると、診療室のドアがバタンと閉まった。二人は驚き、慌ててドアを開けようとしたが、鍵がかかっていた。
田村は冷や汗をかきながら、ドアを叩いた。「誰か、助けてくれ!」しかし、廊下は静まり返り、誰も来る気配はなかった。心拍数が上がる中、彼は診療室の中を見渡した。壁には患者が描いた奇怪な絵がいくつも貼られており、その中には彼を見つめる目が描かれていた。
徐々に、恐怖が彼の心を支配していく。幻覚の内容が現実になっているのか、目が次第に動き出すように感じた。彼は佐藤を見つめ、彼女もまた恐怖に満ちた表情で彼を見返していた。その瞬間、診療室の明かりが消え、真っ暗になった。
「田村、私たち、どうなってしまうの?」佐藤の声が不安に満ちていた。彼は彼女の手を握りしめ、恐怖に対抗するために必死に立ち向かおうとしたが、部屋の中からは次第に不気味な囁き声が聞こえてきた。「お前たちも、ここに残るのだ……」
気が付くと、田村は目を覚ました。自分が診療室の中央に横たわっていることに気づく。頭が痛く、周囲には誰もいなかった。彼は立ち上がり、慌ててドアを開けようとしたが、鍵はかかっていた。心の中で恐怖が膨れ上がり、ついに彼は自分のカルテを見つけた。そこには、自分自身が患者として扱われている記録が残されていた。
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