
長編
お土産のブレスレット
yomo 2日前
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今から5年ほど前の話です。
記憶が曖昧な部分は、差し支えない程度に脚色を加えているので、多少事実と異なる場合があります。
当時、叔父は仕事柄よく海外に行っており、行く度に唯一の甥である私に何かしらお土産を買ってきてくれました。
しかし、叔父は旅行の最中に不慮の事故に巻き込まれ、そのまま現地で還らぬ人となりました。
事故の詳細は私は知りませんし、どこの国にいたのかも聞かされていません。
ただ、その事故に巻き込まれた際に、私に渡す予定だったお土産を持っていたことは聞きました。
そのお土産は叔父の葬儀が終わってから郵送で私の元に届きました。
お土産の姿形の詳細は、申し訳ないですが諸事情により省かせていただきます。
が、簡単に言うならば小さな水晶を細い革紐に通したブレスレットのようなものです。
石は多分安物だと思いますが綺麗な青緑色で、アクセサリーにはあまり興味がなかった私もとても気に入りました。
しかしそのブレスレットを受け取ってから、身の回りで妙な出来事が起こるようになったのです。
全て話すと膨大な量になってしまうのですが、例えば買って冷蔵庫にしまったはずの牛乳が消えていて、それが何故か庭の物置の前に置かれていたり、きちんとしまったはずの包丁が何故か枕元に置かれていたり
誰かがボケてやったんじゃないかと言われればそれまでですが、それにしては頻繁すぎるし何より家族全員家を空けている間にそれらが起こるので、父も母もげっそりしていました。
そんなある日、ある用事があり近所の神社に足を運ぶと、そこの神主に呼び止められました。
「お前さん、何か良くないものが憑いてる。最近変なものを手に入れなかったか」
そう言われても心当たりは無く、曖昧に返事をすると、神主は続けてこう言いました。
「あんたそれ放っておいたら家族全員大変なことになるよ。うちじゃ祓えないから、ここに連絡しなさい」
そして、何処かの電話番号を走り書きしたメモを私に握らせてきました。
「いいか、必ずそこに連絡するんだぞ!」
神主は何度もそう叫んでいました。
今の私であれば、言われた通りに連絡したと思います。
しかしその時の私は何故だかそういう気になれず、メモをぐしゃぐしゃに丸めて捨ててしまいました。
この時の行動を本当に後悔しています。
家の中がどんどんおかしくなっていったのはそれからです。
母はパート中に貧血で倒れ、その拍子に前歯を2本も折り、父は
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- 神主さまの言う通りにしていればこんな事にも会わなかっただろうが、丸めて捨てるかね。よしくん
- 凄い。凄すぎる。物好きの魔女
- 怖すぎます。まるで小説みたい……匿名