
長編
異世界に消えた中嶋
ヨシヨシ 3日前
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。
高木が隣でなんかいうてるけど、全く聞こえんし。
必死に扉にたどり着き転げるように俺と高木は中に入った。よーわからんけどなんか心臓バクバクよ。
窓から外を見ると校舎自体が雨にのまれてて、もやでなんも見えないの。中嶋は屋上に取り残されてるんやけど、姿見えない。びしょ濡れは間違いないやろう。
名前を大声で呼んでも返事もない。てか、雨の音で聞こえない。
数分が経ち、音が次第に弱まり、外の景色がはっきり見え出した頃、屋上に中嶋はいなかった。
雨も止んだので、高木と2人で屋上に出て探しても中嶋はいないんよね。
自分らのカードだけ、3人分びしょ濡れで屋上に残ってた。
風に飛ばされたんやと思って、俺と高木は急いで職員室に行って、先生に会ったことを説明した。
すると
「またあんたら2人ね、誰?中嶋くん?そんな子三年生にはいないでしょ。雨だって全然降ってないし早く家帰りなさい」
と。
何言ってんのこいつ。は?なに?
意味がわからなかった。食い下がって説明するが全く相手にされず、しまいには親に電話するぞと言われた。
高木と2人で狐に包まれたような気持ちで、職員室をでた。
「とりあえず、中嶋んちいこや」
と高木が言う。
そうしよう、中嶋のおとうとおかあに話そうと。2人で学校を出るのだが、その時おかしいと思ったのは、雨が降った形跡が全くないんよね。
グラウンドはからっからやし、普通に外でサッカーとかしてるし、ポケットのカードのデッキだけ濡れてんの。
やっぱり何かおかしいと思ったのはそれだけでは終わらない。
「あんたら誰?うちには娘しかいませんけど」
見慣れたはずの中嶋のおかあにそう言われた。もう意味がわからない。高木と2人で泣きながら帰ったのを覚えてる。
そのあとも、何回も中嶋の家にいき、先生や親にも話をしたんだけど、中嶋の存在が完全に消えてんの。俺と高木しか知らんのよね。中嶋を。
高木と考え抜いた結果、あの雨にのまれて中嶋は別の世界に飛んでしまったんだと言うことにした。ありえんけど。そうでもないと説明がつかんのやもん。
大人になった今でも、俺と高木はその時のことを鮮明に覚えてるし、飲みにいくこともあるが、必ずその話をする。
でもやっぱあの感じやと高木も気付いてるんじゃないかと思う。言わんだけで。
異世界に飛んできたのは自分
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- 異世界へようこそおろ
- 雨の境目あります。、片方豪雨、片方快晴とか。 見て、通ったことあります。さく
- ゲリラ豪雨の境目見える時ありますよ。 特にダムや池などのいる時は水面の様子からゲリラ豪雨が迫ってくる感じがはっきりわかります乃濡刃
- 小学校の屋上に子供だけで上がれるという点と ゲリラ豪雨が目の前に迫っていて自分の頭上には雨が降ってない(そんなくっきりした境が迫って来るのか、理論上には有り得るが、目の前に雨が降って自分の上にはまだ来てないというのが共感できない) という点の 2点が空想的で少し抵抗があったきょとーお
- 異次元系の話し上手いな!とてもセンスがあるので今度は長編にも挑戦して欲しいです!M
- せつないですね。猫山