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籠の中⑩(部屋から出られない以外はほとんど自由に

その次の日は、未奈を軽く前手だけ縛った。
ここまで拘束が緩くなれば、完全に逃げようと思えば逃げられる。
前手首を縛っているだけのロープなど解こうと思えば解けそうだし、部屋からハサミなどを探してロープや窓の結束バンドを切ることもできそうだ。
だが、未奈ならそれをしない。
俺は信じていた。
家を出てから、仕事の合間に部屋の様子をスマホで見たが、未奈はテレビを見たり本を読んだりしていた。
飲み物や昼食などもあるので、ほとんど普通の生活だった。
未奈は前手に縛られているが、それを解こうとしたりする様子はなかった。
次の日になると、全く縛らなかった。
玄関のドアは敢えて外から施錠しないことにしたため、未奈が家に帰ろうと思えばいつでも帰れる。
それは未奈も知っている。
だがスマホで家を監視していても、未奈はやはりそれをしようとする気配はなかった。
俺は未奈を試していた。
もしここで未奈が逃げてしまえば、俺の計画は失敗だったんだと考えていた。
その日俺が家に帰って来ると、「おかえりなさい」と迎える未奈。
未奈が俺を出迎えてくれたのは初めてだった。
俺ももだいぶ表情が柔らかくなってきた。
未奈と少しは話すようになり、今さらながらに俺の拓海(たくみ/仮名)という名前を教えたりした。
そのあとは普通に食事したりテレビを見たり、同居している男女のような感じだった。
未奈の俺に対する表情もだいぶ柔らかくなってきた。
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