
友人たちと肝試しに行ったのは、近所の廃墟にある巨大な水槽だった。水槽は元々水族館の一部で、今では長い間放置されているらしい。水面には薄暗い藻が生い茂り、底は見えなかった。秋の夕方、薄暗い空の下、私たちはその場所に足を踏み入れた。
「ここが噂の廃墟の水槽だよ。中には怪物がいるって言われてるんだ。」友人の一人が言った。
私たちは水槽をぐるりと一周し、何も見えないことに拍子抜けした。まさか本当に伝説なんてないだろうと思った。しかし、帰ろうとした瞬間、異変を感じた。周囲が急に静まり返り、風さえも止まったのだ。
心臓がドキドキし、背筋に冷たいものが走った。水面に波紋が広がり、何かが底からこちらを見ているような気がした。恐怖が襲いかかる。
その時、友人が「見て!あれ!」と叫んだ。振り向くと、水面に巨大な影が映し出されている。まるで魚のようだが、形が異常で、まさに怪物のようだった。恐怖で動けずにいると、影が急に水面を割り、こちらに向かってきた。
慌てて、近くにあったペットボトルを手に取り、思わず水槽に投げ込んだ。「これを生贄にするから、許して!」と叫びながら。
水面で激しい音が響き渡り、ペットボトルが破裂するように消えていった。私たちはその場から逃げ出し、息を切らしながら廃墟を後にした。もしあの時、何も投げ込まなければ、私たちもあの怪物に飲み込まれていたのかもしれない。今でも、あの水槽の影を思い出すと、背筋が凍るような思いがする。恐怖は私たちから離れなかった。
そして、あの水槽には本当に何かがいる。今でも近づくことができない。あの時の出来事が嘘であってほしいと願うばかりだ。
実際に目撃したわけではないが、あの影は私の中で生き続けている。今もあの廃墟には行けないままでいる。通り過ぎるたびに、あの恐怖の影を思い出し、背後に誰かの視線を感じるのだ。
もしも、あの時に何も投げ込まなければ、今の私たちは存在しなかったかもしれない。
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