
中編
薄い女
匿名 2日前
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さの長い白髪、大きな目と鼻。灰色のワンピースのような服を着た大きな老婆がそこに横を向いて立っていた。
カーテンと窓ガラスの薄い隙間。そこに横向きに立った老婆が、にやにやしたまま前後に揺れていた。
俺はとっさに目をそらしてカーテンを閉めた。
あまりに気味が悪かった。
どうやったってあんな5センチ程度の隙間に人が横向きに立てるはずがない。
老婆自体がどす黒く、まるで悪魔や魔女のような見た目で、今でも忘れられない。
あまりの恐ろしさに俺はそれ以来お姉さんの部屋を見ることはなくなった。
性に対する興味心よりも恐怖心のほうが勝っていた。
で、その老婆が何者なのかは分からないまま数年が経ち、それが原因だとは思いたくはないが、お姉さん一家は離散してしまった。
まずお姉さんとお兄さんが田舎のおばあちゃんの家に引き取られ、その後両親は離婚。お父さんがしばらく一人で暮らしていたが、やがて病死した。
今ではその家も、俺の住んでいた家もすっかり壊されて、新しい住宅街に生まれ変わっている。
30年も昔のことだが、あの老婆のおぞましい姿が今でも忘れられない。
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