
秋の夕暮れ、私は学校帰りに山道を歩いていた。薄暗くなりつつある道で、ふと小さな声が聞こえた。声の主を探して歩くと、草むらの陰に小さな女の子がいた。彼女は震えていて、目は潤んでいた。「どうしたの?」と尋ねると、彼女はただ「お腹がすいた」と呟いた。
そのまま無視するには心が痛んだ。私は母に相談し、彼女を家に連れて帰ることにした。母は優しく迎え入れてくれ、すぐに飴玉をいくつか渡した。彼女はまるで数日間食事をとっていなかったかのように、嬉しそうに飴を頬張った。
「もう帰るの?」と母が尋ねると、彼女は嬉しそうに頷いた。飴玉を手に持ちながら、まるで夢から覚めたような笑顔で去っていった。私たちはその後、いつも通りの生活に戻った。
数日後、村の集会所で悲しいニュースを耳にした。彼女が行方不明になり、数日前に発見されたという。村の外れにある家で、飢えたまま亡くなっていたと報じられた。私たちがあの日出会った彼女だった。
その後、母が知人から聞いた話では、彼女の家はずっと放置され、誰も助けを求めなかったそうだ。私たちが彼女に飴玉を与えたその日、彼女はすでに命を落としていたのかもしれない。私たちは彼女を助けるチャンスを与えられながら、無知であった。
それ以来、母と私はその日を忘れずにいる。彼女が最後に見せた笑顔を思い出しながら、少しでも助けられたかもしれない命があったことを胸に刻んでいる。生まれ変わったら、今度こそ幸せな家庭で育ってほしいと願いつつ。あの日の出来事は、決して消えない記憶となった。彼女の笑顔は、私たちに忘れてはならない教訓を与えてくれたのだ。
そして、今もどこかで彼女が幸せに過ごしていることを願っている。どんな形でも、彼女の存在は私たちの心の中に生き続けるのだから。
だから、私はこの物語を語り続ける。彼女のことを忘れないために。
彼女のことを思い出すたびに、私の心に響くのは彼女の笑い声だけではない。彼女の命を救えなかったことへの痛みも共に。
どうか、誰かの命を助けることができるように。そう願い続ける。
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