
中編
ラジオ
匿名 2016年11月12日
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※補足から見ていただくとよくわかります
自分の部屋で起こった出来事だから忘れられない
(震災のあとなのか…前なのか…)
前後だとしたらもう5.6年も前になる
不安な気持ちになったり新居に引っ越したりすると、そういう現象に会うと聞くが
自分には起きないだろ、テレビの中だけだろw
と思っていた
前回の影に続いてまさか自分に起こるとは
いつも通り規則正しい生活を送っていた俺は就寝時間も守っていた
2階リビングにいたが特にテレビにも興味がなく、さっさと食器を片付け
歯を磨いて開眼状態で早めに寝床へ、
小6の時に父親が買ってくれたラジオで埼玉の面白い局を聞いていた
アンテナが折れるのでその都度捨てられているラジカセからアンテナを取り外ずして回収し
部屋のラジオに取り付けてそのラジオを大事に使っていた
23時にもなってくると自分にとっては面白くない話題しか出てこなくなった
電源ボタンで電波をシャットダウンし、
暗闇は苦手なので画面ライトだけは灯した
画面の上に調節ボタンがある
一番低い明るさにして準備は満タン
部屋の明かりはホタル電球
小学校の時の暗闇に閉じ込められたトラウマが頭から離れず真っ暗にはできなかった
(目を瞑っていればそのうち寝るものだ。)
そう考えながらウトウト
(…何時間くらい寝た?)まだ12時代だった
「あ~、早く寝すぎた」
(寝直すか、あ~でも今寝ちゃったしなー、すぐには寝れないなー)
そんなことを考えながら寝返りを繰り返しているうちにいつの間にか寝そうになっていた
「あ!携帯充電してないし!」
朦朧とする中で何とかソケットを探り当て、携帯にさす
「これでいっか…」
ウトウトし始め
再び夢の扉の前へ
音がすれば覚める程の睡眠感
それは刹那な出来事だった
明るさ調節のボタン が
【ガガガガガガガガガガガガガガガガ】
尋常じゃないほどのボタンを押すスピードと音が頭のすぐ真後ろ、いわばゼロ距離で耳に刺さる
恐怖で体が 飛んだ
吃驚というより恐怖が先だった
自分でも考えられない程のとんでもない速さで部屋を出ていた
その刹那の間に考えていたのだろうか
(お兄ちゃんか?いや、そんなスペースないしなぁ)
(寝ぼけか?んなはずは、眠気なくなったぞ)
(前飼い猫が亡くなったからそれか?ありそうだけどなかなかなぁ、)
(寝相?おかしいな、そんなピンポイントで弾くようにぶつかるなんてあり得ない)
音がなるのとほぼ同時に、弾丸の様に部屋を飛び出していた
本能か、動け!と脳が示す前に体が動いていた
恐ろしくパニックに陥っていたため後ろを振り向くなど出来ない
目に見えない恐怖に襲われながら
恥じらいも忘れて祖母の部屋、(1階自室、リビングを挟んで隣の部屋が祖母の部屋)へ駆け込んだ
訳を話し、朝まで自室には戻らないことに
何故か羽毛布団だけはしっかり持っていた
というより体が引き締まったままだったから離せていなかったのかも知れない。
寝ることはなんとか出来たが無論寝不足である
たっぷり寝たとはいえ昨日の出来事のあとではどうも体が重い
翌日、窓から朝日が差し込む清々しい部屋の明るさの中、恐る恐るドアの前へ
昨日の今日でまだ勇気が出ない
暫く考え、意を決してドアを開ける
そこには
何気ないいつもの空間が広がっているだけだった
かと思った
寝る前に最低光度に設定して寝たはずなのだが
画面ライトが消えている
どうしようもない恐怖がまた見え隠れしている
冷や汗が上がってくる
しかし俺は強かった
というより朝が強かった
朝は良いものだ、朝というだけでその恐怖は描き消される
そのラジオはすぐコンセントを抜きアンテナを仕舞って片付けた
こんなに空間あったのか
改めて部屋の奥行きに驚かされる
困ったことに今もその部屋で生活をしている
ラジオはそれ以降入口付近に置いたまま
処理方法に迷っていて結局そのまま
お気に入りの局はもうかなりご無沙汰している。
後日談:
- 部屋は四畳半程、入って右奥に詰めるようにシングルパイプベッドを置いている わかるだろうパイプならではの軋む感じ そのベッドにはよく横になって寝る、 左を下にして寝ると向い側クローゼットの方に顔が来る その状態で頭の後ろにラジオを置いている
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