
長編
少年のおばあちゃん
kuna 4日前
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少年の存在に気づいて、老婆は振り返りました。
「みぃーたぁーなぁー!!!」
後ろからものすごい早さで老婆は追いかけてきます。
少年は、ずっと無我夢中で走り続けました。
前だけを見て―――…。
―――どれくらい走ったんでしょう、目の前に、建物が見えました。
それは、自分達が泊っていた建物でした。
少年は建物に飛び込み、部屋を探し走り続けました。
すると、見慣れたドアが見えて、そこが部屋なんだとわかりました。
少年はすぐさま部屋に入り、布団に潜り込みました。
ドクン、ドクン、と、鼓動が高鳴っています。
すると、スーッ…と扉が開き、さっきの老婆が入ってきました。
老婆は、近くにいたこの布団に手を入れながらこう言いました。
「寝ている子は足があったかい〜…」
そこで初めて少年は気づきました。
自分の足は、とてつもなく冷たいのです。
「起きていた子は足がつめたい〜…」
その間も老婆は、次々と子供の足を触っていきます。
「この子もちがーう…」
なんとか足を暖めようとして、足を手でこすりました。
―――とうとう、自分に、回ってきました。
ドクン…ドクン…ドクン…
老婆が自分の足に手を当てます。
「この子もちがーう………」
少年は、ほっと胸をなでおろしました。
そこで、老婆の足音がぴたりと止まりました。
「………………………」
老婆は、自分の手を見つめています。
その手には、土がついていました。
そうです。
少年は、裸足のまま外を走っていたため、足に土がついていたのです。
老婆がゆっくりと振り返りました。
そして、少年のところまで戻ってきます。
「!!!」
少年は、殺される事覚悟で目を瞑りましました。
でも、老婆は少年の手を取り言いました。
「お前は正直な子だね。急いで足をあったかくしたんだろうけど、土がついてちゃ意味ないじゃないか」
「え…おばあさん…?」
おばあさんはなぜか悲しそうな顔をしていました。
「この世に…未練があったんだけどねぇ。お前のおかげて成仏できそうだよ」
「え…?待っておばあさん!どうして…どうして死んじゃったの?」
「……息子に、殺されたのさ。お前にそっくりな顔をしていてね。保険金目当てだったみたいだね」
「おばあさん………」
「でも、おまえはそんな子じゃないって分かったよ。いい大人になりなよ。天国から応援してるから」
すると、少年はそれが自分のおばあちゃんだという
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