
ある日、奇妙な夢に誘われた。夢の中で、私は高層ビルの屋上に立っていた。冷たい風が頬を撫で、下を見下ろすと、街の明かりがまるで星のように輝いていた。
「ここから飛び降りられたら、どんな気持ちだろう?」そんな思いが浮かび、私は無意識に両足を踏み出した。すると、なんと空を飛ぶ感覚が広がった。
「やった!これは夢だ。もっと高く飛んでみよう!」
私は勇気を出して、ビルの端から飛び立った。最初は不安だったが、すぐに空を滑空する楽しさに心が弾んだ。周囲を見渡し、月明かりの中で自由に舞うことができるなんて、夢の中だからこそできることだ。
しかし、急に背後から声が聞こえた。「おい、待て。」
振り返ると、そこには黒い影が立っていた。全身が黒く、目だけが赤く光るその存在は、まるで悪夢そのもののようだった。
「お前、どうしてこんなところにいる?それに、その糸は何だ?」
「糸?これは…夢の中での自由を象徴するものです。」
その存在は、じっと私を見つめていた。「ならば選べ。天国へ行きたいか、あるいは無事にベッドに戻りたいか。天国に行きたければ、その糸を切れ。その時、私が案内しよう。」
恐怖が私の心を締め付ける。このまま飛んでいるのは楽しいが、何かがおかしい。無理に抵抗しても無駄だろう。「えっと…戻ります。」
「早く戻れ。だが、夢の中で飛ぶことは二度と許さぬ。」
「もし飛んだら?」
「即、消えてもらう。」その瞬間、彼は手に持った黒い鎌を振り下ろした。
目が覚めた。目の前には見知らぬ天井。全身が痛む。周囲には医療器具が並び、制服を着た人たちが私を見ている。どうやら病院にいるらしい。
後から知ったことだが、私は夢の中で屋上から飛び降りたのだ。幸い、一命は取り留めたが、重傷を負ってしまった。
今後、夢の中では自由に飛ぶことはできないと心に誓った。あの黒い影の言葉を忘れないために。
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