本当にあった怖い話

怖い話の投稿サイト。自由に投稿やコメントができます。

長編

未来の覗き見

しる 2020年5月13日
怖い 330
怖くない 308
chat_bubble 2
10,893 views
小学生の頃の話。 当時よく友達と学校近くの広場に遊びに行っていたんだけど、いつものように友達数人とチャリに乗って広場を目指していたら、前を走ってた友達2人がチャリごと急にフッと消えたんだ。 え?と思って後ろを見ると、俺の後ろを走ってた3人の友達も消えて俺1人になってる。 周囲にはチャリ持って咄嗟に隠れられるような場所なんてないし、本当に物音ひとつせずに5人の友達が同時に消えてしまった。 怖くなって、とにかく大人に事情を説明しようと思ってルートを変えて大きめの商店街に出たんだけど、その商店街が変だった。 なんていうか、俺のよく知る商店街と少しずつ色んなものが違ってる。 スズキ(仮)という名前のはずの本屋がマツモト(仮)になってたり、昨日まで普通に営業してた八百屋が建物ごとなくなって売地になってたり、コンビニがあった場所がコインランドリーになってたり、商店街抜けた先のボロアパートがなくなって駐車場になってたり… 道もなんか綺麗だし、見たこともないカフェが増えている。 いつも開いてた金物屋とかがシャッター閉まってて、中にはボロボロになった閉店の貼り紙がある店も。 それらの店も昨日までは確かに普通に営業してた店だった。 通行人はいるけど話しかけても返事がない。 なんていうか、俺のことが見えてないみたいだった。 どうしようもなくて適当にチャリこいで進んでいったら急にでかい地震が来た。 マジで今まで体験したことないような地震。 目の前に見える古い二階建ての家がグラって歪んだかと思うとそのまま崩れてしまった。 通行人もワーワー叫びながら逃げたりしゃがみ込んだりしてる。 その間俺はチャリに跨ってたんだけど、確かに揺れは感じるのに倒れたりはしなかった。 チャリと俺が地面に固定されてるような感覚。 金縛りの一種なのか?なぜか身体が動かせなくなってて、倒れる建物や逃げ遅れて怪我をする人達をぼーっと見てた。 そうこうしているうちに揺れはおさまったが、崩れた塀に下敷きになった人と、名前を呼びながらその人を引っ張る家族らしき人、子供の泣き叫ぶ声などでとんでもない状態になってた。 遠くで煙が上がっているのも見えた。 うわあ…なんでこんなことに… とにかく家に帰らなきゃ、そう思うと同時に身体が動くようになった。 俺はチャリを押して瓦礫だらけの道を進み始めた。 所々地割れを起こしててまともに歩けたもんじゃないけど、商店街を抜けると比較的マシになった。 チャリのタイヤはガラスの破片を踏んでパンクしてしまったようで、ガッコンガッコン音を立てている。 家族はどうしているだろうか。 大丈夫だろうか。 家は崩れちゃったかな… なんて考えているうちに、すっかり忘れていた5人の友達のことを思い出した。 そうだ、あいつらはどこに行ったんだ? この地震で、広場に避難してるのかな? それなら合流しなきゃ。 少しスピードを上げて広場へ向かう。 と、1人のおじいさんとすれ違った。 おじいさんって書いたけど今思うと50代くらいの人だったかもしれない。 そのおじいさんはなぜか俺の名前を呼んだ。 え?知り合い?でもこんな知り合いいたっけ?親の知り合いかな?なんて思っていると 『バレないうちに早く帰りなさい』 と言って、変なカラフルな棒付き飴をくれた。 よくわからないけど、適当に受け取った。 その飴を口に入れた瞬間、目の前が大量のフラッシュ焚いたみたいに真っ白に光った。 多分1分以上その状態が続いたと思う。 やっと光がおさまって目を開けると、手に持っていたはずの飴がない。 そして地震で崩壊したはずの街が元通りになっている。 もしかして…と思って商店街に行くと、そこは俺が知ってるいつもの商店街だった。 ちゃんと金物屋も開いてて店の前にはガチャガチャが2台置いてある。 変な夢でも見たのか?と思ったけど、チャリはパンクしてて押すとガッコンガッコン音を立てる。 訳がわからなかった。 広場に行くと友達5人が輪になってヒソヒソ話していたが、俺の姿を見ると「お前、どこ行ってたんだよ!」と半泣きで叫んだ。 彼らの話によると、チャリで並んで広場に向かう途中で急に俺がチャリごと消えたらしい。 当時の小学生は携帯なんて持ってなかったしから、親に言うか警察呼ぶべきか、でもその場合なんて説明するかで話し合っていたらしい。 俺はさっきの奇妙な出来事のことは話さず、チャリがパンクしたからどうのこうのと適当に説明した。 みんな最初は不審がっていたが、信じてくれたようでその後はいつものように遊んだ。 それから数年経ち俺が中学生になった頃、金物屋の主人が体を壊したとかで金物屋が閉店し、それに次ぐようにいくつかの店が閉店した。 うちは特に八百屋に世話になっていたので、八百屋が潰れたのは結構ショックだった。 この八百屋は建物自体の老朽化が激しかったからか、閉店してすぐに壊された。 その跡地は現在も売地になっている。 俺が高校生になる頃には商店街の先のボロアパートが取り壊されて駐車場になり、スズキという本屋が経営者の変更だかでマツモトという名前に変わった。 他にも色々変わって、俺が社会人になった今は道もすっかり綺麗になった。 今の商店街を見ていると小学生の頃のあの体験を思い出す。 あれはきっと一瞬未来にタイムスリップしたのだろう。 だとしたらあの大地震も、いずれ来る地震なのだろうか… 今の所まだコンビニはコインランドリーになっていない。

この怖い話はどうでしたか?

f X LINE

chat_bubble コメント(2件)

コメントはまだありません。

0/500

お客様の端末情報

IP:::ffff:172.30.0.105

端末:Mozilla/5.0 AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko; compatible; ClaudeBot/1.0; +claudebot@anthropic.com)

※ 不適切な投稿の抑止・対応のために記録される場合があります。

label 話題のタグ

search

通勤中に読んではいけない短編怪異集

読み込み中...

読み応えのある実録ホラー

読み込み中...

長く尾を引く長編実話ホラー

読み込み中...
chat_bubble 2