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中編

2階の奥の部屋

匿名 3日前
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近い部屋のふすまは開いていて、 そこから夕日の残光が弱弱しく天井に向けて射している。 つばを飲み込むと、 僕は這うように奥の部屋に向かった。 女の人が顔を出していたのは一番奥の部屋で、 僕は夕日の残光を背に、 暗い廊下をそこに向かってすすんだ。 廊下は階段同様に、 歩くたびにみしみしと音を立てる。 奥の部屋に付く頃には四本足だった僕は そこでやっと二本足になって、 ふすまの取っ手に手をかけた。 さすがに一気に開けるのはためらわれたので、 音を立てないように、 ゆっくりとゆっくりと開いた。 10cmほど開けただろうか。 中を覘いてみたが真っ暗な部屋の中、 わずかに藍色の光が見えるのは、 鎧戸の隙間だろう。 隙間に近づけた顔に閉め切った 夏の部屋特有の熱気と臭い。 そしてそれに混じる畳の香り。 何もなさそうなので思い切ってふすまを開いたが、 婆様の言ったとおり何も無かった。 誰もいなかった。 なら、僕が見たのはなんだったのだろう。 釈然としないままふすまを閉めると、 僕は1階に降りるために廊下を歩き出した。 と、5歩も歩かないうちに ぽんと肩をつかまれた。 ぎょっとして振り向くと 先ほどの女の人が見下ろしている。 白粉の匂いがした。 「こりゃ。覘いたらいかんやろ」 僕は声も出ないまま、 その手を振り解き、2階へと駆け下りた。 婆様と、ちょうど帰ってきたばかりの 叔父にこれを伝えて探してもらったが、 やはり何もいなかった。 僕の体験はというと、 「夢か寝ぼけていた」 で済まされてしまった。 ちなみに、僕は建て替えるまで、 その家の2階に上がることは無かった。

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  • 怖いけど、もう少し情報が欲しいかな。 何なのかさっぱりわからない。
    ぱらぱら
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