
彼女は、祖母から受け継いだ古い蔵に住んでいた。夜が訪れると、蔵の中は静まり返り、薄暗い隅に彼女の猫がじっと座り込む。
「どうしたの、ミケ?」彼女は猫を呼びかけるが、ミケは無反応。目を細め、何かを見つめ続けていた。
周囲には何もない。彼女は笑ってしまう。「猫って、また虫でも見てるのかな。」そう思うのが普通だが、彼女は少し気になっていた。
猫はただの生き物じゃない。彼女は、友人から聞いた話を思い出す。『猫は過去の記憶を見ることができるんだって。』
その言葉が心に引っかかり、思わずミケの目の先を見つめた。すると、ほんのわずかに冷たい空気が流れた。彼女はゾクッとした。
ミケの後ろには、何かの気配があった。彼女は思わずためらいの声を上げる。「誰かいるの…?」
恐る恐る近づくと、蔵の壁に古びた写真が貼られているのに気がついた。そこには、祖母の若い頃の姿が映っていた。その背後には、涙を流す子供の姿があった。
彼女は思い出す。祖母が言っていたこと。「この蔵には、私たちの思い出が詰まっているのよ。」
その瞬間、ミケが急に立ち上がり、彼女の足元にすり寄ってきた。耳をぴくぴくさせ、視線を壁に戻す。彼女はその視線の先に、もう一つの影を見る。そこには、過去の悲しみを抱えた子供の顔が浮かんでいた。
彼女は身震いし、目を逸らそうとするが、どうしてもその視線から逃れられなかった。そして、ミケが静かに鳴く。「もう一度、彼女の涙を見せてあげて。」
その言葉が彼女の心に響き、彼女は気づく。猫はただのペットではなく、過去の記憶を伝える存在だったのだと。彼女は目を閉じ、もう一度その影を見つめることに決めた。何が待っているのか、確かめるために。彼女はその影の中に、自分の運命を見つけたのだった。暗闇の中で、また一つの感情が芽生えた。彼女は、猫の秘密を知ってしまったのだ。恐怖と共に。
それ以来、彼女はミケと共に蔵で過ごすことが多くなった。夜になると、ミケの視線がどこを向いているのかを見逃さないようにしていた。そこには、いつも過去の「記憶」が潜んでいるのだから。彼女はそれを感じていた。
後日談:
後日談はまだありません。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(0件)
コメントはまだありません。



