
長編
視線を感じる
えい 2020年12月14日
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たのかと、両親は心配して色々、聞き出そうとしていたが、怯えているだけで何も話さなかったらしい。
ただ、それは家に居る時だけで、母親と町へ買い物しに出掛ければ、以前の様な明るい顔になると言っていた。
そんな時必ず言う言葉があった。
詩音「ここなら感じない。」
そんな生活を繰り返していたある日の夜中。
突然、莉音が大きな叫び声を上げた。
寝ていた両親は、莉音の叫び声で目を覚まし、急いで莉音の部屋に入った。
莉音は、上半身を起こし座った状態で、部屋のあちこちを見渡していた。
母親が駆け寄り莉音の肩に触れて名前を呼ぼうとした、莉音の寝間着はグッショリと濡れていた。驚いて莉音の顔を見ると、汗が流れていた。
父親の声で、母親は、莉音の肩を掴み名前を呼んだ。しかし…莉音は怯えた目で部屋の中を見渡すばかりだった。
母親が莉音の額に手をあてると、熱があった。
それもかなりの高熱。
母親は、タオルでサッと体を拭き莉音に着替えをさせると、父親に車を出す様に言って、バタバタと病院に行く準備をしていると、今度は、詩音の部屋から、悲鳴が聞こえた。
父親が莉音を車に乗せようと家に入って来た時だった。詩音の部屋から物凄い悲鳴が聞こえた。
父親は、居間には行かず、詩音の部屋に行った。
母親も、詩音の部屋に走り込んで来た。
真っ暗な部屋の電気を父親が壁にあったスイッチを押し点けた。
部屋の真ん中に立ち尽くし、まるで何かが居るかの様に目で追う様な仕草をしていた。
父親が詩音に歩み寄り、肩に軽く触れると、まるで糸の切れた操り人形の様に、その場で気を失い慌てて父親が詩音を抱き止めた。
何が起こっているのか全く分からない。
両親は、詩音と莉音を連れ病院へと急いだ。
その車内で、二人の娘は、しきりに「見ないで、見ないで。」と言い続けていた。
そのうわ言を聞いていた母親は、ある事を思い出した。病院へと車を走らせる父親に以前あった事を話した。
すると、「実は俺もそんな事があったんだ。」と父親が言って、「あの家、何かあるのかな?明日、不動産屋に聞いてみようか?」と言ったので、母親も「そうね。」と短く返事を返した。
幸い莉音は、病院で処方された薬を2日くらい飲み熱は、すっかり平熱に下がった。
一方で、詩音は、家から出ると以前と変わらない調子になるものの、家に入ると辺りをキョロキョロと見渡しては怯える毎日を
後日談:
- 話の流れでは、莉音が先に気付いた様に書きましたが、実は詩音の方が先に気付いていた様です。 誰にも言わなかったと言ってました。
この怖い話はどうでしたか?
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- 紫雲さん、相変わらずの読み手がまるで そこにいるような臨場感でゾ〜…っとします。怖いですね。 続編 楽しみに待っています。K
- 小説のように分かりやすく背筋が凍るような怖い話でした。原因は呪物のようなものでしょうか?続きが気になります。ななみん
- 勝手に読んで、勝手にストレス感じて、それをわざわざ書き込むとか、暇人にも程があるな。ポルポトはサル
- 初めて読んだけど文脈がおかしかったりして少しストレスを感じた・・・あい
- このご時世だとコロナ関係で医療関係者は忙しいですが、『病は気から』というように霊能力関係でもコロナ影響はあるんでしょうかね? 人様の死を願う呪いは幾多もあることですし通りすがりの喫煙者
- 紫雲さんのお話大好きです。続き楽しみに待ってます。あい
- 続きが気になります陸奥
- 霊道ってどうすれば対処できるんだろう? 先の話が気になりますね。 楽しみにしてます。たくまん
- かなり怖かったです…ゾゾっと来ました。しゆか