
長編
仮想世界(意味怖)
匿名 8時間前
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遼馬と分かれるところで不意に
「果帆ちゃん。俺と付きあわない?」
「えっ?」
俺は何て答えてよいか分からず固まってしまった。
「俺、果帆ちゃんのこと前から好きでさ。」
「わ・・私も遼馬くんのこと、いい人だなって思ってたけど・・」
だが、俺は少し考えたほうががいいと感じた。
確かに遼馬は優しくていい感じがするが、デートしてみた様子から是非付き合いたいって程ではない。
俺がリアルに女だったらそう思うだろう。
「遼馬くんって、カッコいいし私よりもっと合う人がいると思う!だから・・」
遼馬は一瞬硬直したが、そのあと苦笑いをしながら、
「分かった。そうだよね!」
遼馬は振り返らずに去っていった。
俺は後悔はしなかった。
・・・
女子大生の生活も少し慣れてきたある日、俺はいつも通り大学から家に向かっていた。
都心の大きなターミナルの駅を歩いていたとき、見覚えのある男を見た。
その男は、なんと「俺」だった。
男だったときの自分自身。
俺は慌てて俺を追いかけた。
人混みの中で追いかけていくのは大変だったが、
「すみません!」
「はい?」
振り向いた顔は少し驚いた感じの俺自身。
そしてその声は俺の声だった。
「○○正昭さんですよね?」
「そうですが?」
「俺・・私です。○○果帆です。」
元の俺は不思議そうに
「どこかでお会いしました?」
今の俺はどう説明していいか混乱した。
俺は
「あの、前から気になっていたんです。良かったらお茶でもしませんか?」
不思議そうな顔になる元の俺だが、若くて可愛い女が言うんだから悪い気はしない。
俺のことだから分かっていた。
(以下、今の俺を「俺」、元の俺を「正昭」と書く)
そして正昭と一緒に近くの喫茶店に入った。
世間話をして談笑する俺たち。
正昭も俺に興味を持っているようだった。
当たり前といえば当たり前だが。
そのあとは正昭と長い時間話し、次の日にまた会うすることにした。
・・
次の日、夕方頃に正昭と待ち合わせた。
正昭は会社員だが、仕事を早く切り上げて会いに来てくれた。
そして正昭と町を歩きながら、俺の方から手を繋いだり、体を寄せたりした。
正昭は嬉しそうだった。
元の俺なら、こんな可愛い女の子が積極的になることなんて一度もなかった。
街を歩きながら、正昭は俺に
「どうして君は、僕に対してこんなに積極的なんだい?」
俺は答えるべきか迷ったが、本当のことを打ち明けることにした。
「実はね、あなた
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- 「どこかでお会いしました?」ってちょっと不自然