
これは、今年80歳になる祖母が体験した、少し奇妙なお話です。
60年前。祖母・タケシ(仮名)が小学校に通う頃。
寒い冬の夜、家族で温かい夕食を囲んでいた時、外から不思議な物音が聞こえてきました。好奇心旺盛なタケシは、両親や祖父母に「ちょっと見てくる!」と言って外に出ることにしました。
当時の田舎の民宿は、外にトイレがあったため、タケシはその道のりを通ることになりました。あまりにも寒い夜、タケシは外の空気に驚きながらも、手元の古いランプを頼りに進みます。
外に出ると、真っ暗な庭に月明かりが差し込み、何かが光っているのに気づきました。「今夜は月が綺麗だな」と思いながら、その光に目を凝らします。
すると、光はどんどん近づいてきて、次第に二つのオレンジ色の球体のようなものに見えました。タケシは驚愕し、声も出せずに立ち尽くします。
その時、家の中から心配そうな声が聞こえ、「タケシ、どうしたの?」と母の声が響きました。タケシは必死で空を指さし、家族にその光を伝えようとしましたが、家族は「何も見えない」と言って笑っているだけでした。
近づいてくるその光は、やがてタケシの目の前で止まり、次の瞬間、ポンッと音を立てて消えてしまいました。寒気が全身を包み、タケシは恐怖に駆られて家の中に戻りました。
家の中に戻ると、突然、納戸からガシャーンと大きな音が鳴り響きました。家族全員がその音を聞きつけ、父と祖父が納戸へ向かいました。すると、玄関から「ごめんください」と声が聞こえました。
母が玄関を開けると、そこには近所の女性が立っていました。彼女は、急な知らせがあると告げ、タケシの目の前で話し始めました。「実は、私の妹が今朝亡くなりまして…」
その言葉を聞いた瞬間、タケシは思い出しました。先日、その妹がタケシに「今度おもちゃを一緒に遊ぼうね」と言っていたことを。心の中で何かがざわめき、タケシはその光の正体が一体何だったのかを考えずにはいられませんでした。
その後、タケシの両親は、「あの光はもしかしたら、彼女の魂だったのかもしれない」と話しました。あまりにも切なく、悲しい、祖母の不思議な体験でした。
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