
高校生の頃、友達と一緒に廃工場に肝試しに行くことになった。冬の冷たい風が吹く夜、私たちはその場所の噂を耳にしていた。廃工場の奥には、誰も近づかない小さな部屋があるというのだ。
数人で集まった私たちは、興味本位でその部屋を探ることにした。懐中電灯を手に、誰もいない工場の中を進む。薄暗い通路を歩いていると、古びたドアが見えた。ドアの隙間からは微かな光が漏れている。
「この中、入ってみようよ」と友達が言う。私もドキドキしながら頷いた。ドアを開けると、中は湿気にまみれた空間で、薄暗く、不気味な雰囲気が漂っていた。
その瞬間、友達が何かを見つけた。古いフィルムが床に散らばっていた。私たちはそれを拾い上げ、懐中電灯で照らすと、そこには白黒の映像が映し出されていた。映像の中には、知らない子供たちが遊んでいる様子が映っていたが、彼らの顔はすべて真っ黒に塗りつぶされていた。
「うわ、気持ち悪い」と私が言うと、友達は笑いながら「これ、俺のクラスのやつらじゃね?」と言った。その瞬間、私の心に不安が広がり始めた。彼の言った言葉が信じられなかったからだ。
「もう帰ろうよ」と言ったが、彼はフィルムをポケットにしまい、「まだ奥に行ってないし」と言って、その部屋の奥に続く小さなドアを指差した。私は頭の中で警告が鳴り響いたが、彼は何も気にせずドアを開けた。
そこには、長い髪を持った白いワンピースの女性が立っていた。彼女の顔は見えなかったが、私の心臓が高鳴り、恐怖に襲われた。思わず目を閉じ、耳を塞ぐと、次の瞬間、気がつくと私は外にいた。夜の冷たい空気が頬に当たる。友達はどこにいるのか、全く覚えていなかった。
その後、学校に戻った私は、友達のことを思い出せずにいた。彼の名前も顔も思い出せない。卒業式の日、ふと廃工場のことを思い出し、同級生に聞いてみたが、誰もその場所を知らないと言う。
卒業アルバムを引っ張り出して、あの友達を探そうとしたが、彼の姿はどこにも見当たらなかった。たった一度の肝試しで出会った友達の記憶が、まるで霧の中に消えてしまったようだ。あのフィルムの中には、私の顔も映っていた気がするが、もちろん顔は真っ黒に塗り潰されていた。
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