
僕は幼い頃から、空想の世界に生きていた。学校での友人や、憧れの女性との生活を夢見ることが日常だった。そんなある晩、アパートの一室でぼんやりと空想に耽っていたその時、突然の火災警報が鳴り響いた。
目を覚ますと、部屋は煙に包まれ、ほんのりとした炎が見える。どうやら隣の住人が調理中に火を出したようだ。僕は、すぐに外へ出て他の住民に警告をすることにした。
「火事だ、逃げろ!」と叫びながら階段に向かうと、下から消防車のサイレンが聞こえ、外には消防士たちが集まっているのが見えた。しかし、恐ろしいことに、僕が出ようとしたベランダには、下に飛び降りるためのマットが敷かれているのだ。
その瞬間、背後から声がした。「そのマットは幻影です!」
振り返ると、そこには白衣を着た医者が立っていた。「下には何もありません!飛び降りるな!」
理解が追いつかず、まさかここでも幻影が現れるとは思わなかった。混乱しながらも、医者の言葉を信じようとした瞬間、彼が本物かどうか疑問に思った。果たして、彼は現実なのか、それとも僕の空想の一部なのか?
一瞬の迷いの後、僕は決断した。もし彼が幻影なら、下に飛び降りて真実を確かめるしかない。とはいえ、実際には何もないと考え、思い切って飛び降りることにした。
全身を強い衝撃が襲い、痛みが走る。意識が遠のいていく。医者の言ったことは本当だったのか? 彼は本当に存在していたのか? それとも、すべてが僕の空想だったのか?
数日後、街の噂を耳にする。「あの場所で飛び降り自殺があったらしいわ」と、女性たちの会話が聞こえてきた。彼女たちが言うには、亡くなった人は若かったという。何があったのかしら? その後、別の女性が続けた。「飛び降りる前に『火事だ!』って叫んでたって聞いたけど、本当なの?」
「でも、あの辺りで火事なんてなかったよね?」と、彼女の友人が答えた。僕の叫びは、誰にも届かなかった。
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