
友人の誘いで、山間の別荘に泊まることになった。彼はその家が面白いと自慢していたが、私は少し不安を感じていた。夜の帳が下りる頃、別荘に到着した。
その別荘は、築40年ほどの古いログハウスで、周囲には他の家は見当たらなかった。風が強く、木々が揺れる音だけが響く不気味な場所だった。友人は早速、家の中を案内してくれた。
一階には居間と小さな台所、そして二階には二つの寝室があった。私たちは一つの寝室に泊まることにした。友人が荷物を整理している間、私はふと目に入った本棚に近づいた。そこには古びた日記が置かれていた。
「これ、読んでみてよ」と友人が言った。
日記の表紙には「真由美の日記(2021 年 1 月〜)」と書かれていた。少し気になった私は、ページをめくってみた。内容は、彼女の生活や出来事が詳細に綴られていたが、次第にその内容は不穏なものへと変わっていった。
「最近、見えないものが私を見ている気がする。夜になると、物音がする。私を呼ぶ声が聞こえる気がして、眠れない」といった具合だ。私は恐怖を感じつつも、友人にその内容を伝えた。
「そんなの気にするなよ、ただの妄想だ」と友人は笑っていた。
その夜、寝室に入ったものの、私はなかなか眠れずにいた。風の音がさらに強くなり、窓がカタカタと鳴る。時折、物音が聞こえてきたが、友人はぐっすり眠っていた。私は不安を感じ、日記をもう一度手に取った。
日記の後半には、次第に彼女の精神状態が悪化していく様子が描かれていた。「もう耐えられない、私を解放して」という言葉が繰り返されていた。
突然、上の階からドンという音が響いた。私は驚いて友人を揺り起こした。「何かあった!」
友人は不機嫌そうに起き上がり、「お前の気のせいだ」と言って再び寝る。私は一人、恐る恐る階段を上がった。上の部屋の襖を開けると、暗闇の中に何かがうごめいているのが見えた。障子越しに月の光が差し込んで、薄明かりの中に形が浮かび上がった。
それは、首にロープを巻かれ、四つん這いの姿勢でこちらを見上げる女性の姿だった。彼女は無表情で、目は虚ろだった。私は恐怖で動けなくなり、声も出せなかった。
その瞬間、彼女の口がゆっくりと開き、「助けて…」と声が漏れた。私は思わず後ずさりし、階段を転げ落ちてしまった。友人が起きてくると、私はそのことを話したが、彼は「夢だろ」というだけだった。
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