
幼馴染で、幼稚園から高校までずっと同じ学校だった女の子がいるが、彼女は喜怒哀楽がほぼない子だった。
彼女は真優加(まゆか/仮名)、上品な顔にストレートの黒髪の美少女だが、彼女が「泣いたり」「怒ったり」さらに「笑ったり」するのを、誰も見たことがなかった。
嬉しいことや困ったことがあっても、表情や声や態度が変わることはなかった。
「授業中、誰かが面白いことを言ったとき」も「運動会でクラスが優勝」しても「修学旅行などでスナップ写真を撮ったとき」も彼女は絶対に笑わなかった。
一度、クラスのお楽しみ会で「クラス全員を笑わせたら勝ち」みたいな企画があって、俺たちは真優加を笑わせようとあの手この手を練った。
そして俺たちの出し物は「これで笑うなとか拷問だろww」ってものに仕上がりクラスは爆笑の渦に包まれたが、真優加だけは最初から最後まで一度も笑わなかった。
そんななか、中学に入ったときから彼女に好意を抱くようになった。
綺麗な顔をしていながら笑わない真優加は、なぜか惹きつけるものがあり、ドキドキした。
そんな真優加とも同じ高校に行くことができた。真優加は合格発表のときですら笑わなかった。
高校2年生のクラス替えでは真優加と同じクラスになり、真優加は髪が胸あたりまであるロングヘアになりずっと可愛らしくなっていた。
そして偶然席が隣りだったこともあり真優加と話すことも多くなった。
そしてある日、昇降口のところで待っていた俺は真優加に告白した。
真優加は、
「うん。いいよ。」
と抑揚のないトーンで答えた。
そして喜ぶ俺!
そのあと真優加と一緒に帰ったが、真優加は相変わらず無表情だった。
真優加と付き合って改めて気づいたことなんだが、真優加との意思疎通は予想外に難しかった。
デートで、映画を見ても、ランチをしても、何をしても真優加は表情が変わらず、「楽しい」のか、「本当は嫌」なのか全く分からなかった。
ふと考えたのが、真優加はこれからどうやって生きていくんだろうか。
怒ること、泣くことはなくていいとしても、笑わずに社会や家庭生活で生きていけるのだろうか。
就職が決まって社会人になっても、結婚して家庭を持ったときも、さらに子供が生まれても我が子に一度も笑顔を見せずに生きていくんだろうか?
真優加が好きでそういうふうに生まれてきた訳ではないことも考えると切なくなる。
何か真優加にできることがあるなら、力になりたい。
何があっても俺は真優加が好きだった。
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