
私は、若い看護師の美紀です。冬の寒い夜、病院の勤務を終えた私は、帰り道の廃病院の前で足を止めました。そこには、誰かが捨てたと思われる古びた日記が落ちていました。好奇心に駆られ、拾い上げると、表紙には「願いが叶う」と書かれていました。
日記を開くと、そこには「この病院で願い事をすることで、願いが叶う」と記されていました。半信半疑ながらも、私はそのまま病院の中へ足を踏み入れました。廃病院は静まり返り、冷たい空気が肌に刺さりました。
奥へ進むと、何かの気配を感じました。心臓が高鳴りながらも、日記に書かれていることを試してみることにしました。「私の願いは、完璧な恋人が欲しい」と呟くと、周囲が一瞬暗くなり、そして明るさが戻った瞬間、目の前に一人の男性が立っていました。
彼は魅力的で優しそうな笑顔を浮かべていました。私の心は踊りましたが、同時に何か違和感を感じました。彼と話すうちに、彼の言動が次第に不気味になっていくのを感じました。彼は私に自分の過去を話し始め、かつてこの病院で亡くなった患者であると告げました。
その瞬間、私は恐怖に駆られました。急いで病院を後にし、自宅に戻ると、彼の声が耳の中で響き続け、「おかえり」と言っていました。しかし、私の周りには誰もいないはずなのに、その声は明らかに私を呼んでいました。
私は再び日記を取り出し、恐る恐る読み返しました。「願い事は叶うが、代償を伴う」と書かれていたのです。その時、私は理解しました。私の望んだ完璧な恋人は、もうこの世に存在しない霊であり、彼の願いを叶えることで、私自身が彼に囚われてしまったのです。
今でも夜になると、「おかえり」と彼の声が聞こえてきます。私の人生は、願いの代償によって永遠に暗い影に覆われてしまいました。皆さんも、願い事をする際には、その代償をよく考えてください。私のようにならないために。
この病院は今、誰も近づかない場所になっています。
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