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中編

隙間に挟まったおじさん

しの 2018年4月24日
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私と旦那のI、長女のRは、次女のKが一歳半の時に今まで住んでいたアパートから数百メートル離れた場所に八軒建てられた新築の一軒家を購入し引っ越しました。 その住宅街は真ん中に私道があり、それを挟む様に四軒ずつ建っています。 私達家族の家は私道を入口として一番手前の右側の家でした。 私達が引っ越した時にはまだ、八軒中我が家を含めて三軒程しか住んで居ませんでしたが、月日を追う毎に一軒又、一軒と越して来て3年経つ頃には八軒中一軒を除いた七軒にそれぞれの家族が暮らして居ました。 我が家のお隣は60代の旦那さんと40代の奥さん。そのお隣は共に50代のご夫妻。そのお隣はIの幼馴染みのHくんと、両親、妹、妹の息子(5)の家族。 私道を挟んだ向かい側の一番手前は共に30代のご夫妻と長男(中1)、長女(小5)の家族。 そのお隣が70代のお母さんと40代の息子さんの家族。そのお隣は空き家。そのお隣が20代のご夫妻と長女(小3)、長男(小1)の家族です。 七軒中、我が家を含めた四軒に子供が居ましたので、そんなに年の変わらない子供達はあっという間に仲良くなり、私道で遊んだり互いの家を行き来する様になって居ました。 子供達のお陰で母親の私達も、お互いの家でお茶したり、外で立ち話をしたりする様になって居ました。 我が家はIの提案で引っ越してから間もなく黒い柴犬の仔犬を家族として迎え入れ、Gと名付けました。 お隣にはゴールデンレトリバーのNが居て、GとNの犬同士も仲良くなって居ました。 ある日、Rと妹のK、私道の向かい側の一番奥の子供達が私道で遊んで居たので私はGの散歩に行きました。 戻って来ると我が家のお向かいさんの長女も遊びに加わって居ました。 私はGをチェーンに繋ぐと、玄関掃除をしていたお向かいのママと立ち話を始めました。 暫くするとRが公道の方へ歩いて行きました。 我が家の前は公道になって居てその向かいに中古バイクを修理する工場の様な造りの建物と、その隣は大きな一軒家が有りました。 中古バイクの工場と大きな一軒家の間に横幅40センチ程の隙間が有りました。 Rは、その隙間に向かって歩いて行きました。 私とお向かいのママが呆気に取られて見ていると、Rはその隙間に向かって何やら話掛け始めたのです。 私は慌ててRの所へ行くと 私「R?何言うてるん??」 R「おじさんと話してるんだよ」 私「おじさん…?」 私は隙間を覗きましたが… 誰も居ません。 私「どんなおじさん?」 R「優しそうなおじいさん。いつもR達が私道で遊んでるのをニコニコしながら見てる」 私「何を話してたん?」 R「いつも、元気で楽しそうで良いね!って。おじさんは何でこんな所に挟まってるの?って聞いたら、此処から出られないんだ。って言うからママ呼んで来ようか?って言ったら、おじさんの事は普通の人には見えないんだよ。って」 私は又、隙間を覗きながら 私「まだ居るん?」 R「居ない。ママが来たら消えちゃた」 私は、ちょっと気になったので仕事から帰って来たIに隙間を見て貰いました。 I「悪い感じはしないな」 私「今、居てるん?」 I「居ねーよ笑」 私「大丈夫?R」 I「大丈夫だろうけど、霊にあんま関わるもんじゃ無いから明日ちょっと頼んでみるわ」 私「誰に?何を?」 I「取り敢えず任せとけ。多分、その男の霊は何らかの理由があって、こっから出て来られ無いんだ。本来霊なんだから何処でも自由に行き来出来るはずだろ?でも、こっから出れないなら見えなくすりゃ良い」 翌日Iは中古バイクの工場へ行き、社長と思わしき人と、例の隙間の前で暫く話して居たかと思ったら自転車で出掛け、暫くすると自分の会社のダンプで戻って来ると例の隙間にあっという間に隙間のサイズに合わせて切って来た木の板を嵌め込み隙間を隠してしまいました。 I「これで大丈夫」 私「ホンマに?こんな木の板だけで?」 I「隙間が見えなきゃ大丈夫」 私「まぁ~、あんたがそう言うなら。でも、社長さんに何て言うたん?まさか、お化けが挟まってるって??」 I「言うか笑子供達が、この隙間が気になって入ろうとして危ないから塞がせて欲しい。って言った。あの社長、さっきまで此処にこんな隙間がある事自体知らなかった。どうぞ!どうぞ!ってさ笑」 私「そうなんや」 その日の午後に学校から帰って来たR達はいつもの様に私道で遊び始めました。 Rはその日から全く隙間を気にしなくなりました。 隙間に挟まって居たおじさんは、いつから挟まって居たのでしょう。 そして… 今もまだ、木の板の向こうで挟まって居るのでしょうか… ※一軒家に引っ越してからのRのとんでもない体験の前に住宅街のメンバー説明も兼ねて先に違うお話を書かせて頂きました。 次の話は長くなるので、時間を見つけて又、投稿させて頂きます。

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