
長編
長い夜
匿名 3日前
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から男がずっとお経を唱えてる。心臓はもうバクバクしている。
丸坊主の男。
眼球は無く目玉が本来ある位置には真っ黒な空洞だけ。首から下には何も無い。
金縛りで振り返る事が出来ない自分には見えるはずがないのに。
お経を唱えるソレの姿が、
なぜかくっきりと視えた。
(ヤバイ!ヤバイ!)
言いようの無い恐怖と不安に駆られ、どうにか体を動かそうと力を込める。
金縛りには何度も遭ったことがあるので、ある程度の対処法はわかる。
体のどこか、一部分でいい。無理矢理にでも動かせれば一気に金縛りが解ける。はずだ。今までの経験上。
延々と繰り返されるお経に恐怖心を煽られながら、
(うおおおおおお!!)と力を込めると、右足が少し動いた。
(よし!)
1歩だけ前に出た。
金縛りは解けない。
左足も動く。2歩目。
金縛りが解けない。
おかしい、今までと違う。金縛りが解けない。
体がズッシリと重い。
気を抜くとまた動けなくなりそうだ。
『南〜無〜妙〜法〜蓮〜華〜経〜』
お経も消えない。こわい。
と、いきなり部屋の雰囲気が変わった。
真っ暗なだけの部屋だったのが、濃い紫と黒の縦に走るノイズのようなもの?
何と言えばいいかわからないけど、視界に無数のノイズがかかるという表現がピッタリくる。
テレビや家具の輪郭が歪んで見える。
重力が2倍になったようなプレッシャーを部屋全体から感じ、今まで経験したことの無い別次元の恐怖に圧し潰されそうになった。
自分の部屋が、自分の部屋じゃないようだ。
(状況が悪化した)
心臓の鼓動はどんどん早まり、息が詰まりそうになりながら それでもなんとか、重い足を持ち上げ1歩ずつ前に出る。
『南〜ザザッ妙〜ザザザザ蓮〜華〜経ザーッ』
後ろから聞こえてくるお経までノイズ混じりで気がおかしくなりそうになる。
ベッドには娘がピクリとも動かず横になっていた。とにかく娘のもとに行きたい。
情けないことに、娘が心配で、と言うよりは自分が安心したくて娘のもとへ向かっていた。
汗だくになりながらも時間をかけ1歩ずつ。
やっとの思いでベッドの側へ辿り着く。
すると、フッと金縛りが解けた。
異常なプレッシャーから解放され、力尽き、娘の横にドサリと倒れ込んだ。
静かな部屋に、心臓がドキドキうるさい。
荒れた呼吸を整えながら部屋を見渡す。
いつもの自分の部屋だ。
お経ももう聞
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- 怖いし面白いです!!うんこりん