
私の親戚には、介護職の人が多いんです。
怖い話が好きな人も多く、集まると大抵「介護施設での怖い話」になるんです。
誰もいない部屋から突然、呼びかけ声が響く……なんてことはよくある話です。
しかし、ほとんどの場合は、
「幽霊よりも認知症の方が怖い」
「出てきたら手伝ってほしい」
なんていうオチで終わるのが常です。
そんな親戚たちから聞いた話をお伝えします。
──
いとこから聞いた話です。
いとこが働く老人ホームに、ある高齢のおばあさんが入所していました。
彼女はもう自力で食事ができず、点滴で命を繋いでいる状態でした。
一日中ほとんど眠っていて、静かに“終わりに近づいている”といった具合です。
そのおばあさんの孫から、夜に電話がかかってきました。
「お忙しいところすみません……変なことを聞いてもいいですか?」
「……うちの祖母は……退所していないですよね?」
もちろん、そのおばあさんは部屋で静かに眠っています。
点滴もモニターもついていて、動ける状態ではありません。
そう伝えると、孫は息を呑み、
「そうですよね……。信じてもらえないかもしれませんが、いま、祖母が目の前にいるんです。」
「彼女は“もうすぐ行くから”と話しているんです……」
孫の話によると、夜中に入所中のおばあさんが突然帰ってきたとのことです。
最初は勝手に退所してきたのかと思ったそうですが、どんなに考えてもおばあさんは自力で帰れる状態ではありません。
おばあさんは帰るなり、
“私はもうすぐ亡くなるから、葬儀の準備をしておけ”
“あの人にも連絡をして、棺に入れてほしい物がある”
などと、家族に向かってまくしたてていたそうです。
確かに電話口は少し慌ただしい様子でした。
いとこはもう一度部屋を確認しましたが、
おばあさんは変わらずそこで眠っていました。
そのことを改めて伝えると、孫は
「……そうですよね……」
と不思議そうな様子でした。
こうしている間も、彼女は孫の目の前で葬儀の準備の確認をして忙しそうにしていたのです。
「あっ……」
孫が呟くと、
「今、いなくなった。頭を下げて……消えた。」
最後に、孫は少し泣き笑いのような声で、
「……そういうことですよね。準備しておきます。」
と言ったそうです。
翌日、家族が面会に来た後、おばあさんは具合が悪くなり、数日後に亡くなったとのこと。
家族に囲まれた穏やかで静かな最期だったそうです。
──
大叔母から聞いた話です。
大叔母は地元の介護施設で定年まで勤めたベテランの介護士です。
後日談:
後日談はまだありません。
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